みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2020-01-01から1年間の記事一覧

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金がすっかりなくなった。¥18,000はあったのに。そのうち、¥12,000はイベントの払い戻し、¥5,000は施しで、¥1,000はなんだかわからない。またも酒に溺れてしまってた。学習するということがわかってないのだろう。なんとか食料品の備蓄はしたものの、洗…

宿営地(*the repeat)

* ようやくたどり着いたとき、その家にはひとつの扉しか残されてなかった。黒い扉が立ってて、そのむこうには焼けぼっくりが広がり、おれたちの何人かは膝を折って、呆然とそれを見つめるか、うつむくしかなかった。おれはかまわずに扉をあけた。扉を支えて…

孤立のままに

* 花のない8月のひと日、その鬱憤、その連れあいよ、いまままさに拓こうとする不運の裂けめから、やがておれのなかに闖入してくる、さまざまな現実。そっからどうにか、眼をそらそうかと気を揉むだけの夜だ。おれは腹を空かしてタイピングしてた。手許には…

東京幻想

* 水の撥ねる音がする。暗い陸橋を高速バスで走りながら、ふと窓を見た。取り残されたみたいな丘のうえで、坐礁した海豚の群れが見える。でも、それは肩身を寄せ合って生きる建売住宅の群れだった。なんだか、さみしいものがこみあげた。バスは東京にいこう…

視姦容疑

店内アナウンスと監視カメラ、そして防犯防止鏡がおれを見つめる。乾いた土、夏の真昼。スーパーマーケットのなかでおれは酒を見てる。ワインコーナーにはだれもおれを見つめる者も、追いかける者もなかった。だから、そのなかから白ワインをとって、左手に…

救い

不運なほどになにものにもなれないで 御幸通を歩き、やがて小野浜公園にやって来る、 老人たちにまじって、 おれも炊きだしに並ぶ それだけの救い 人身事故みたいな事実の積み重なりのなかで、 花が咲く、 剪りとられ、 枯れる ジム・モリソンがステレオのな…

7月/july

07/01 7時40分に起きる。湯浴み。喰うものがない。日記を加筆して投稿。9時になったら口座を確認する。金が入ったら、公共料金の支払ののち、代引きで来るPCの分をとっておく。公共料金と代引きで¥46,000降ろすことにする。9時、コンビニで公共料金を払い…

ブコウスキー「ポスト・オフィス」'71年

チャールズ・ブコウスキー「ポスト・オフィス」'71年Black Sparrow Press 1971 ポスト・オフィス (幻冬舎アウトロー文庫) 作者:チャールズ ブコウスキー メディア: 文庫 Post Office 作者:Bukowski, Charles 発売日: 2009/04/02 メディア: ペーパーバック あ…

刈り取り

夏のあいだじゅうずっとおれは父の命令で草を刈ってた 前庭、裏庭、通路、そして隣の空き地、まえの空き地を あらゆるものごとは、あまりにもたやすくおれを突き落とす 汗だくになって、へたり込んでるおれに父が罵声を浴びせ、腕をふりあげる 毎年、ずっと…

36回転/固形タイプ

とうとう36になった。あと4年で40男のできあがりというわけだ。特別、意味があるわけでもない生活。今月も先月とおなじように経済的に追いやられてる。いや、みずからを追いやってる。くだらない古本蒐集をやったり、食生活を無理に変えようとして、残金の少…

短篇集、オンデマンド販売開始

初の短篇集「旅路は美しく、旅人は善良だというのに」のオンデマンド版を販売開始します。下記のリンクから注文できます。よろしくお願いします。 旅路は美しく、旅人は善良だというのに *11 れもんの若い木々 *47 愛についてのみじかく、そして淡いなにか…

6月/june

06/01-6/06 酒に溺れ、無用な買いもので金を喪う。8千円の古書を買い、7千円でポルノDVDを買った。1万近くをプロテインとサプリに遣った。それから高い本を2冊買い、CDを2枚買った。まったく計画性がない。給付金がでるまで大人しくしてるべきだった。加えて…

週末

緑色の帝国のなかで なにも欲しがることもなく、 かといってひとりでいるのが寂しいときに 心の澱をみずから確かめて、 なんでもないような貌を気どる ぼくはきみが好きだっていう論証 とくになにに持たない手で きみの頬を撫でるとき、 決まって知らない人…

浮き雲

見あげればただ茫漠として、 浮き雲の愉しさを識る なにかがおかしいとおもう指先の世界で たったひとり雲を見てる心象の果てなんか ぜんぶ、くそ喰らえだなんて、 嘔き棄てたくなってしまい、 やがてさようならの、 余韻もなく、 果実と、 鉄の、 ゆくえも…

長い坑

おれときみが理解し得ないところでずっと坑を掘ってる 他者とはわかり合えないものの、集合体 靴篦を忘れる、調理器を抛る だれとも共有されない時間だけが増え、 そのあいまにだれかの声を聴きたくなる けれどなにも通って来ない壁があるだけで きっとそれ…

長電話

アルベール、おまえは酒の呑みすぎだってきみはいった おれはアルベールなんかじゃないって、ぼくは返した 受話器のむこうから、きみの恋人の声がしてた かの女は怒ってた、――長電話、やめて! でも、ぼくもきみもたっぷり2時間は喋った 喋って、喋って、喋…

失われた詩篇たち

ぼくというぼくは幾年もさ迷いつづけてきた 20から27までのあいだ、どれだけ多くの場所にぶっついてきたものか 口入れ屋と、飯場、病院、施設、どんな場所でも書くことを手放さなかった 26のとき、恩師を怒らせて、かれはそれまで送ったぼくの詩篇をすべて焼…

舞台

牧人みたいなおもざしをして、 きみが藪のなかへ去ってしまうとき おれはかつてのことをおもいだす 豊岡の竹野で大衆演劇の一座にいたことを 読売テレビのディレクターがおれを演出してたこととか どうだっていいことを考え、本質から逃れようとするおもい …

ブリキのペニス

かつて解剖学のはじめから 積年に至る人類の幻想 ペニスを持ってるからといって男とは限らない ペニスを持ってるからといって男とは限らない ペニスがないからといって女とは限らない かたときも手放せなかった天使のようなもの そんなものの在処をきみが知…

襲撃

スパゲッティに飽きてひたすら蜆汁を啜ったのは午后、 まだ裸になれないひとびとのなかで奥まった歯ぐそをほじって、 長年の夢みたいなうつくしい隣人たちと罵声を浴びせあう 憂いを含んだ夕べ、牛丼屋のテイクアウトがやかましい通り おれは詩を書くように…

浸水

足許まで水に浸かっておれはおもう ああ、こんなにも水があるなんて ああ、こんなにも水が 雨は朝から継続的に降り、 あらゆる比喩を洗い流して降る 澱のような悲しみでさえ、 3分もあれば充分、すべてが雨になる 地階の自販機が漏電して、罐ジュースが路上…

インターネットの詩人たち

他人のつくった場所で、他人の書いたものになにかいうこと、 それは犬がマーキングでしょんべんするのとおなじことだとおれはきょう悟った つくらされた態度、つくらざるを得なかった態度で、他人の詩に触れるとき、 おれはいつもいやらしいやつで、攻撃目標…

ブルー・ジーンズ

布と皮膚の関係がしばらくわからなくなるのから、 自身の肉体の変遷と現在がばらけてしまったから、 おれはおれの容積を求める おれはおれの収縮を求める 太陽と花の宴 飾りごとのない、 まったくばかげた身体 笑ってやるよ、ベイビー 笑ってくれよ、ベイビ…

6gatsu/june

おれがビールとベビーチーズを愉しもうとしてるとき、 汽車がながれ 挨拶を忘れ 大事だったはずにものも 意図を失って白い 噛みつきたい、 あたらしくなった食卓に いまにならべられる図鑑のなかで あなたの発条が顕わになって、 恥ずかしいって声も、 むな…

沐浴

ひざかりで子供たちが遊ぶ そんな光景もしばらく 公園には鳩だけが あたりで休む おれは懸垂を1回もできずに肩を痛めた 収集を待つ廃棄品、青い袋と気の触れたベッド あとは燃えるのを待つ周辺住民のかげ 綴じられた本の、1ページをやぶってスケッチする 金…

日本式の朝食(2)

気温があがる、 季節が変わりましたよ 野禽になればいっそあの小径を駈けていくものを ぼくは鞄を抱えて地下鉄なんぞに乗ってる 知らないひとがじぶんでないからって理由でどうしてか、傷つけたくなる ナイアガラまで西神山手線はつづきませんか? それは可…

失われた6月

つまらない買いものばかりしてしまった。詩集や新刊の発注は仕方ないにせよ、むかし持っていたプレミア本を高値で買ったり、いま急に必要なわけでもないのに、ジョイ・ディヴィジョンの評伝を買ったりした。そしてポルノに7千突っ込んだ。さらにはプロテイン…

5月/may

05/01 銀行にてカード再発行の手続きをとる。もはやまえのカードは使えないという。以前来たときにやっていればよかった。4万降ろす。 05/02 酒を呑んで散財。 05/03 きょう配信終了だった映画を見逃す。またもしくじった。 05/04 朝から酒。なにもできない…

退屈の坑のブルーズ

ブログの閲覧数が急激にあがった。なにが起こったかもわからない。どうやら3年まえに書いた山下晴代氏との揉めごとの記事が読まれてるらしい。それでも450を越えたのはあまりにも異常としかいいようがない。 今月はもう素寒貧で、あたらしい記事を書くのはむ…

水曜の夜のブルーズ

身動きのとれない日々を送ってる。金もないし、展望もない。眠ること、喰うこと、それからHIITぐらいで日が終わってしまう。文法書は少し読んだだけ。 ネット詩はもはや終わったようだ。リスクをとって紙媒体にでないとどうしようもない。ネットは簡便だが、…