みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

失われた詩篇たち

 


 ぼくというぼくは幾年もさ迷いつづけてきた
 20から27までのあいだ、どれだけ多くの場所にぶっついてきたものか
 口入れ屋と、飯場、病院、施設、どんな場所でも書くことを手放さなかった
 26のとき、恩師を怒らせて、かれはそれまで送ったぼくの詩篇をすべて焼いてしまった
 そのいっぽうでぼくはHDDの故障でデータを失い、さらには投稿サイトのアカウントまで消してしまった
 いまでもときどき、失った詩について懐いだすときがある
 「さらば青春」
 「ぼくの墓」
 「あさり」
 「雪のてっぽう」
 「揺蕩うとき」
 「風や、風や、風やら、」
 「少女と旅」
 「われら走者」
 「死とうそ」
 「詩と詩人について」
 「青年」
 そして「故リチャード氏の埋葬に関する余興」
 いろんなことがあった
 怒りっぽく、気まぐれで、子供のように過ごした、27から33までの年月
 さまざまなひとに攻撃を仕掛け、蹴散らし、面罵した夜
 たしかなものなど、なにひとつない、花曇りのプラットホームで、
 終日、呪詛を垂れ、自身を呪い、蔑んでた
 一頭のアルパカが貨物列車に飛び込んで、
 なにもかもが終わってしまう映画みたいに失われた詩篇たちが、
 四肢断裂して花みたいに散らばってるよ