みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

駈け抜ける原野すらも、もはやなくて、

* 陽だまりに捧ぐものなしひとびとの顔みなすべて意味などなくて 井戸沈む家系図燃えるひとときに壜詰めの胎児ひとり目醒める 喫烟と会話のあいま中空をゆくたそがれの雲のかなしみは 雲がゆく列車のかたちをしてどうしてだ、ぼくを拒むのは? いちがつも容…

ある夜(夢日記、'07年7月12日)

* ある都市の小さな通り。ぼくは兵士になっている。白い兵士(同じ日本人、造反かなにかか?)とこれから銃撃が起こるらしいのだ。あたりはまったく静かでなんの気配もない。しかしぼくは恐怖のあまり溝に伏せ、死んだふりをする。すぐ目の前に死体があり、…

雨(2007)

水化粧して傘が放つ色気、あるいは微笑み 持ち主をよそ目にかれは大きく誘う 光りやら風やら色のない色を きみは遠いところから来た、真っ白い秋だ 狭路を丘へのぼる車 その咳払いは道路改修工事へ 照明の光線に雨は暖かく、やわらかい べつに好きだってわけ…

水を呑む男(2007)

曇ったガラスに朝がさす。その男は目を細め、コップの底に光りを見る。上半身は裸、黒いズボンをはき、カンバスの中央に立つ。かれの前には小さなテーブルがあって、視点はややその下を向く。細いラインが部屋を蔽い、太いかげがかれの姿をもちあげる。壁の…

仕事探し

最近ずっと仕事探しをするものの、まったくありつけてない。金はすべて食料に使った。来週の火曜日にはホームセンターの面接。当然のように力仕事。現金手渡し、日払い可の求人。今月は大事なものを売って生活費に変えた。合計で¥7,000。本棚はすかすか、CD…

roadman

映画「ホーリー・モーターズ」に寄せて 横たわってしまいたい たとえば毀れたラジオのように 死を恥じることのない終焉を描きたいとおもう 自動車がゆっくりと通過してゆくなかで なにもかもが意味をなさず、 だからといって、 貶められもせずにいる、 そん…

一途な雄牛

ぼくにまだかの女へのおもいが残ってたとき、 ぼくはじぶんのことを一途な雄牛みたいに見てた というのもはじめてぶちこめられた留置場で ヘミングウェイの短篇を読んでたら 「一途な雄牛」っていう童話があったたからだ これはかれが幼い甥のために書いたも…

ぼくはもう怖くない

ただの偶然によって、 ひりだされたというのに 汚辱や欺瞞を強いられ だれもいない室に帰るごとに すり減ってしまう魂しいの檻 ぼくは出会うはずだったひとびと ぼくが殺すはずだったひとびと そしてぼくは会いたかったはずのひとびとはもういない 暗いたそ…

地面のなかに 浅く 埋もれて 光りが 見えるように なるまで ゆっくりと彫琢される雪 あるいは祈祷書 だれが掴む? なにも見えないところで そっとひとりでにひらいた扉が いまだに清められないまま、 窓のなかに立ってる ひとであったものの漣痕がずっと、 …

1月/January

01/01 Oから年賀状、細かい文字でびっしりと書かれてある。またしても無用な買いものなんぞする。PC具合、いやネットの具合がおかしい。ほとんどyoutube以外、アクセスできない。spotifyもだめだ。いろいろと弄くりまわす。けっきょく夕方になってぷららに電…

午睡

だれかが去ったあとで、 残れた軍手みたいに だれかのライスが 路上にあがる 湯気のなか 饂飩を3つ抱えて みどりごみたいにあやしつづける ルンバが氾濫するところで 裁判が始まる 幸いにも るん、 と して、 みな悦ぶ 情景 玄米定食、 あるいは吊された葡萄…

歌集表紙再制作&値下げ

きょうになって歌集「星蝕詠嘆集/Eclipse Arioso」の表紙を再制作しました。というのも解像度がわるく、文字が滲んで見えるからです。題名の表記も改め、ariosoのaを大文字にしました。ほかはほとんどおなじです。ただバーコードの透過使用が以前と作成方法…

夢の亡命

夢を鋳造する道具がほしい 階段のうえで夜が 問いかけるから 他人の室から他人の室へ移動する 平行線上の窓に人参が大きくふくれあがる かなしい大根の、葉っぱがゆれて、 まだだれも殺したことのない手で料理しつづけるとき、 からみついた助詞が文語と和解…

短篇集、表紙再制作。

短篇集の見本が届いたので早速検討に入りました。背表紙の文字がはみ出してしまっていたので、再制作しました。これで無事、本番の入稿に入れそうです。ただまだ本文はチェックしていないので、これから作業に入ります。 ちなみにこの図案は、'17年の個展の…

無料詩集「point break」脱稿。

詩誌への無料配布詩集「point break」完成。サンプル版をいま発注。オンデマンドだと、わずか1冊¥300。午に印刷屋で見積もりとってもらったときには20冊で¥16000だったのに。これならなんとか配れそうだ。以下、収録作。 ぼくの雑記帖(2003) 好きなもの…

短篇集「旅路は美しく、旅人は善良だというのに」改訂新版

表紙 おととしにだした短篇集「旅路は美しく、旅人は善良だというのに」を改訂、新版をだすことになりました。今年の文学フリマのためにです。表紙、収録作も変更しました。きょう、サンプルを発注したので、校閲をもういちど紙の状態でやってから、販売開始…

ニューキャッスルの与太者たち──生きづらさの情報開示請求(3)

○愛着障碍と承認欲求 新幹線無差別殺人についての記事を読んだ。かれがいかに居場所のない、愛情の憶えのない人間かがわかる。そして浮浪者になろうとしたり、自殺しようとしたり、少年院に入ろうとしたり、この世のそとへでようと足掻きつづけていたことを…

ニューキャッスルの与太者たち──生きづらさの情報開示請求(2)

自画像(2010) ○広汎性発達障碍(LD、ADHD、ASDほか) 20歳をとっくに過ぎたころから学習障碍という辞に出会した。たぶんネットの掲示板だったとおもう。ニュース記事がそんなものがあることを伝えていた。読んでみると身に憶えがあった。おれはずっと計算…

ニューキャッスルの与太者たち──生きづらさの情報開示請求(1)

○精神病者としての遍歴──まえがき あなたはこれまで何度、精神科病棟に入院しただろうか。おれは、8回だ。これはアルコール専門病院も含めての数である。じぶんのなにが問題なのか、その原因はなにか、それを治すにはどんな方法があるのか、どんな思考法があ…

最後の晩餐みてえな愛の詩

おれのうちなる女の子たちがよくいったものだ、 "わたしのこと、好き?"って "わたしのこと、好き?"って その科白ならほんとうはおれのものなのに かの女たちにいわせては淋しさを紛らした ガソリンの切れた車が空ぶかしをするみたいにいま、 "おれのこと、…