みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

コラム

小説のあいまに

名も知らない少女に 秋も深まりをみせている。いまだ蚊の残党をみることもあるが、いなくなってきていることはたしかだった。鈴虫がようやく現れ、おもてにかすかな歌を供す。わたしはそれに耳を傾けてみた――こんなふうにたまにはきれいな書きかたをしてみる…

犬を裁け──来月の出版物

来月の出版物です。過去に書いた中篇小説と、いままでエッセイから完成度の高いものを撰んで収録しました。小説『ソクラテスという名のポン引き』は収録見送りです。いつか、だれかがリライトしてくれたらとおもっています。 www.seichoku.com

腐敗性政治的猥褻物――映画「絞殺」と天皇制についてのちっぽけな戯れごと

* たったいま、聖なる睾丸を露出したまま、おれはモニターのまえでものを書く。最近はずっと映画と作劇の指南書を眺め、じぶんの至らなさをおもい知るだけだ。きのうは映画「絞殺」を観た。開成高校生殺人事件をネタにした新藤兼人作品だった。乙羽信子と西…

酒鬼薔薇聖斗をめぐるショート・カット

* たぶん多くの人間が罰するということに激しいけれど鈍感で、赦すということに屈辱と同義なものを見いだしている。これは偏見である。もちろんのこと、これから書くことはすべて偏見の為せる業である。かれを赦せとはおもわないし、さらに罰しろ、曝せとも…

よりかからないでください。──極私的・エレファントカシマシ小論

エレファント カシマシ II アーティスト: エレファントカシマシ 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン 発売日: 1988/11/21 メディア: CD クリック: 2回 この商品を含むブログ (20件) を見る 《よりかからないでください》──これは、'88年「PATI-PATI」…

学歴というもの──マミー石田を再考する

そういう享楽的な諸君の姿を見ていると胸糞が悪くなります!──セリーヌ「死体派」 かつてマミー石田という男がネット上にいた。おもに「高卒者」を嘲笑するためにアジビラまがいの投稿を繰り返していた。かれには追従者もあったし、かれのサイトには共犯者も…

陳腐なる、救いようのないものについて

* たとえばわたしが24のとき、はじめての膵炎で入院していたときだ。病室のテレビで堀北真希のドラマ「イノセント・ラブ」の第1話をたまたま見た。田舎から不幸な理由があって堀北は上京し、ハウスキーパーの仕事に就くも、同僚の宮崎美子(だっけ?)にか…

長篇小説、そして創作について断片集

* 3/28 小説、新たなエピソードを挿入。1頁増える。夜、スケッチを二本書く。 4/10 小説、加筆。そして終盤の内相を削る。再編輯。阪神震災を追加。実家の現在の外観も。外出、食器拭きを買い、パンツを買い、食料を少し。ノックビンを呑み、禁酒2日め。小…

詩を金に換えるということ、そのほか

詩を金に換えるということ わたしの理想をいえば、文藝投稿サイトにも投げ銭や書き手支援のシステムがあったらいいとおもってる。中国ではすでにあるらしいが、日本に蔓延ってる潔癖症的同調主義がそれを赦さないだろう。こいつを黙殺し、破壊しながらやるし…

かつての、かつての、

from a jack-off machine#05[end] あたらしいものが書けないとき、かつてのものを読み返す。どれもこれもひどい。たしかにぼくの書くものも、内面も、暮らしぶりも、過古よりはずっとよくなってる。おととしよりも去年、きのうよりもきょうというぐあいで、…