みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

初秋のスケッチ

初秋にて現るるかな死せしひと 秋暮れる雲間にピアノ聴きており 月蝕や喪われゆく未亡人 秋霖の烈しき真昼水を呑む 水にふくれる陽光もやがて秋 遠き火事果肉のような匂いして さすらえるもののみこそ秋の月 犀を飼うわが幻想よ竹の色 瘋癲の死ぬる秋あり保…

わが短篇集についてのノート

ここ数年間ずっと温めてきた短篇集をようやくだせることになった。もちろんのこと、オンデマンドでだが。データを喪った作品をあたらしく書いたほかは、「新バーテンダーズ・マニュアル」、「みずから書き、みずから滅びるってこと。」、「マイクロフォーン…

僕(今月の歌篇)

* 秋の月まばゆくなりぬ半月に世界のすべて託し給えよ 星の夜に水の魚は光りけり葬場の鐘に跳ねあがりたり 秋月にあずける恋よひとびとのなかにふと迷えるおもい 標なき十字路にただ立ちながら炎天に燃ゆる蠅をば見つむ 秋の雨ひとかげみなのまなざしをただ…

ぼくの雑記帖──中田満帆詩集/未収録作品輯

ぼくの雑記帖──詩集.pdf - Google ドライブ あたらしい詩集をだしました。2003-2018の作品が入っています。 よろしく。

august/8月

* さすらえば鰥夫の身こそ倖せとおもい果てたる真夜の駅舎よ 晩夏訪れてたったいま淹れる珈琲の湯気に消ゆるすべての死者は 暮れる丘奇蹟の粒もなきがまま天然の美を湛える河や 濡れそぼつ聖母のごとき裸婦像やわれを見初めて連れてゆかんか 草木の燃えあぐ…