みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

息が止む

www.youtube.com * ゆかしめよ時のはざまにそよぎつつ眠れぬ夜を戦う花と わがための夢にはあらじ秋口の河を流れる妬心の一語 男歌かぞえる指に陽が刺さるゆうぐれどきのあこがれのなか けだしひとはうつろいながらうろ叩くやがて来たりぬ夢の涯まで つかの…

ゆれる潮

www.youtube.com * 刈りがたしおもいもありぬ秋来る颱風過ぎてすがしい原っぱ みずいろの兎が跳ねる 妬心とはまだ見ぬきみにたじろぐ時間 神さまがくれたクレヨンなどといいぼくを欺く女学生たち 波たゆるいつかの秋がぎらぎらと迫り来るなり男の内部 姿鏡…

無題

* 子羊のような贄欲す朝ならばわれを吊るせと叫ぶ兄たち 踏み切りに光りが滅ぶ列車来て遮られてしまうすべてが かつてまだ恋を知らないときにただもどりたいとはいえぬ残暑がつづく 会わずして十年経ちしいもうとの貌など忘るつかのまの夢 よるべなどなくて…

系図

* 水匂う両手のなかの海さえも漣打ってやがて涸れゆく まだきみを怒らせてゐるぼくだから夏鈴のひとつ土に葬る もはや兄ですら弟ですらないぼくが父母ない街ひとつを愛す 生きるかぎりに於いてもはや交わさぬ契りを棄てる いまはもうだめにしてくれ丸太積む…

九月になったのに

www.youtube.com * 来るたびにきみを眩しむ秋の陽の干割れた壁をひとり匿う 祖母死せり灸の痕を撫でながらわが指のさみしさおもう わらべらの声掻き消され一瞬の夏休みすらいまはむなしく 駅舎にてまぎれて叫ぶ男ありわれと重なる九月来たりて 上映せり夏の…

9月の海はクラゲの海

www.youtube.com www.youtube.com * もはや、9月である。最近、ほとんど本を読んでない。7月に買ったライオネル・ホワイト「気狂いピエロ」も数ページ捲っただけだ。というわけで今月は森山大道のフォトエッセイ、「遠野物語」しか買わなかった。本棚はいっ…

サヨナラ、8月、また来て9月

www.youtube.com * 正直、今月は碌なもんじゃなかった。7月中、断酒と節約が上手くいっていたせいか、歌誌が上手くできたせいか、その反動で飲酒に奔り、浪費に奔ってしまったのだ。当然、離脱症状もひどかったし、原因不明の体調不良にも悩まされた。耳だ…

まちがい

過去を走り去った自動車が、やがて現在へと至る道 それを眺めながら、ぼくは冬を待つ ぼくはかつて寂しかったようにいまも寂しい こんなにもあふれそうなおもいのなかで、 きみのいない街を始終徘徊してるのさ これまでの災禍、そして怒り なにもかもが一切…

夢のスケッチ〈Pt.01〉

かれは衣装入れに手を突っ込んでなにかを探している それは去年のセータかも知れないし、水色の恋かも知れない 台所では子供たちがきのうの誕生会を回想している もしかしたら、ケーキが少なすぎたのかも知れないな そうかぼやいてなにかを探している でも、…

もしかするといなくなったのはぼくか

* 清らかな家政学科よ乙女らの制服少し汚れてゐたり 史を読むひとりがおりぬ図書館の尤も暗い廊下を走る 国燃ゆるニュース静かに流れたり受付台のうえの画面よ たゆたえば死すらもやさしみながみな健やかにさえおもえる夜は 送り火をかぞえる夜よ魂しいが焔…

世界が夏になったとき

* みずからの両手を捧ぐあえかなる南空のむこうガラスがわれる 夏跨ぐ句跨ぎ暑し森閑のなかを歩みて望む才覚 ひとがみな偉くおもえて室に立つ水一杯のコップを握る 彼方より星降る夜よバス停に天使のひとり堕落してゐる 夏しぐれ掴みそこねた手のひらを求め…

野焼き

* そしてまた去りゆくひとりかたわらに野良すらおらず藪を抜けたり 夕やみにとける仕草よわれらいま互いの腕を掴みそこねる 世はなべて悲しい光り笑みながらやがて散りゆく野辺送りかな 野焼きする意識の流れしたためる夏の化身の夜の呼び声 流れすら朝のま…

アマガミ

* たそがれに語ることなしあしたには忘れてしまう空気の色も 波踊る 真午の月のおもかげがわずかに残る水のしぶきよ 砂のような日常つづく意味のない標語の幾多ならぶ路上よ 友なくば花を植わえというきみのまなこのなかにわれはあらずや 星の降る夜はあり…

眼をひらいて祈るように

* 願いには意味などなくて立ち止まる駐輪場が増設された 水運ぶ人夫のひとりすれちがう道路改修工事の真午 からす飛ぶみながちがった顔をして歩道橋にて立ちどまるなり 眼をひらく祈りの対義求めても高架下には車止めのみ アカシアの花のなかにて眠るとき人…

歌誌『帆(han)』、初号発行

装丁 わたしくし中田満帆主宰による歌誌『帆』第一号。17人よる短歌と批評を収録。反時代的祝祭を彩る、あらたな短歌表現を結集した一冊。序文より《わたしがいま望むのは胸が痛くなるほどに詠み手の内奥が剥きだしになった歌、孤立を超えてゆく愉楽を伴った…

街色

* 鶫すら遠ざかるなりかげはみな冷たい頬に聖痕残す 悲しけれ河を漂う夢にすら游びあらずや陽はかげりたる 寂しかれゆうべの鍋を眺めやる もしや失くせし望みあるかと ぼくを裁く砂漠地帯の官吏らがミートボールに洗礼をす うつし身の存り方おもう紅あずま…

と、おもう。 

* 懐かしきわが家の枇杷よ伐られつつ繁る青葉をいまだ忘れじ 子供らに示す麦穂の明るさはたとえば金の皮衣なり 遠ざかるおもかげばかり胸を掻く溢れんばかり漆の汁よ かなたなる蛮声いつか聞ゆるにわれの野性が眼醒めたりゆく きみがいい きみがきみである…

林檎のかけら

* 七夕の光りもわずかちりぢりに地上の愛を手放すふたり ベゴニアの苗木がゆれる 風の日に陽当たりながらわれを慰む だれかしら心喪うものがゐて舟一艘に眠りてわれ待つ ゆうぐれの並木通りに愛を待つ わずかなりたることばのすえに 天使降りる土地の主人を…

茱萸のおもいで

* 招き入るひともあらじや光り充ちさみしさばかり夏の庭にて シトロンの跳ねる真昼よ世に倦みていまだ知らないかの女の笑顔 草笛も吹けぬままにて老いゆけば地平に愛はひとつもあらじ 告げるべきおもいもなくて火に焚べる童貞の日の詩篇や恋を 熱帯魚泳ぐ夏…

青林檎

* 水無月のつるべ落としを眺めやる一羽の鳥のような憐れみ 地の糧もなくて窮するひとりのみ草掻き分けて見知らぬ土地へ やがて知る花のなまえを葬ればとりわけ夜が明るくなりぬ ふりむきざまにきみをなぐさむ窓さえも光り失う午後の憧憬 たとえれば葡萄の果…

38回転/酔い醒めの朝

* といわけで38になっちまった。もう逃げられない。歌誌の発刊は迫ってるし、今年中にはアルバムのレコーディングだってある。おれはとりあえず、なにかもを赦そうとおもった。過去のじぶんや、過去のものごとをぜんぶ。だって、もう取り返しがつかないし、…

夢譚のなかで

* 戦つづく骸のなかのおもいではピースサインのかく存るゆうべ 流れては消ゆるものこそ尊しと河辺の花をちぎって游ぶ いまさらにおもいでなどと呼ぶ刹那 冷凍庫に隠したるかな 彼方より流れ星かな一筋のなみだのようなきらめきありぬ ぼくがまだ生きてゐる…

大人になる予感

www.youtube.com * 紫陽花暗し夏のまえぶれおれの手が汚れながらに握る花びら 声あればふりむくときよ顔がまたちがったように見えるゆうぐれ 光りあれ 取り残された路地裏でつぎの出会いを待つは朝どき しぐれゆく街の時間よまざまざとひとの内部を照らす雨…

あるいは主人の非在

* 絶つ定め あるいは祝賀歌いたる余生のなかの雁の啼き声 身を放つ 窓の眺めが光りする、いつかのような死へのあこがれ きょうもまたさよならする両手 幽かなひとのかげまだ残る 車蜻蛉・アンドロメダよ銀河するおれの永遠曝す午後2時 時と時の硲よ いまだ…

観衆妄想

* この闇がぼくに赦せるものをみな運び揚げてはゆれる舟たち 夏来る山脈遠くかすみつつ胸のなかにて熟れる韜晦 さようなら彼方のひとよいつの日か花の匂いに眼醒めるときは 窓際の一羽のからす ほんとうは隠しごとなどしたくはなかった たわむれた過去のお…

反様式

* 記録図譜あるいは願い燃えあぐる荒れ野の果ての儚い夢よ 声聞ゆ学び舎寂し建築はあまねく過去を思い起さん 夏の日の真昼の幽霊 足許を照らす陽射しが猶も寂しく 対向する光りのなかをさまざまな過去が揺れてるわたしの現実 カラー喪失する夜半「シャッタ…

公開日記は最終回です。 [May. /'22]

www.youtube.com 05/01 2時、無理をして手淫。全然気分がよくない。薬が明らかに足りない。1日余分に嚥んだのは確かだが、それ以上だ。あきらめて床に就く。9時5分に起きる。どうにも耳の具合がよろしくない。またぶり返してしまった。きのう、すぐに眠って…

すべての距離

* われのみがひととはぐれて歩きだす初夏の光りの匂いのなかで ものがみな譬えのように動きだす暗喩溶けだす午前三時よ それまでがうそのようだとかの女がいうわれら互いに疑りながら つぎの人生あればたぶんきみを知らずに埋もれていたい うそばっかりで終…

風葬序説

* 百日紅 花の惑いにゆれながら猶新しき種子を撒くのみ 桜桃の枝葉の匂い 復讐はもどり道など断じていらず まさにいま風に葬られてゆくさまを叙述するのみ 風葬序説 からっぽの世界のなかで愛されて虚しさなどを具象する夜 駅いずれ世界の果てに残されて地…

酸模の茎 

* 連動する地獄の筵たなびいていままさに詠まれる夕べ やらず至らず試みずやがて溶けゆく意志たちのいま 水色の水充ちたればささやかな宴をともす深夜の酒席 心あらずも美しくあれ如雨露の水が降りそそぐごと 詩画集のなかに埋もれてゆく景色まだ一切を諦め…