みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ブリキのペニス

 

 かつて解剖学のはじめから
 積年に至る人類の幻想
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスがないからといって女とは限らない

 かたときも手放せなかった天使のようなもの
 そんなものの在処をきみが知ってたとしたら?
 たった一度でさえも裏切りががまんならないときに
 愛するものが存在しないと気づかされる、ああ、そうだ
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスがないからといって女とは限らない

 かつて経済学のはじめから
 積年に及ぶ人類の欺瞞
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスがないからといって女とは限らない
 ペニスを持ったかの女が男だとはいえない

 やがて浴室をでて
 きみはおれに目もくれず
 ローブをかけて食卓へいく
 そのときおれのなかでなにかが弾け飛んだ
 だれだったかはわからない
 ふるい映画のような貌が
 眼前に現れる
 そしてそれがじぶんだってことに
 不本意ながら気づくことになるんだって、ああ、そうだ
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスを持ってるからといって男とは限らない
 ペニスがないからといって女とは限らない

  ブリキのペニスよ、
  おれの下半身に勃起しろ
  ブリキのペニスよ、
  バスキアのように勃起しろ
  ブリキのペニスよ、
  女々しく泣いた夜を嗤え