みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

犬を裁け──来月の出版物

来月の出版物です。過去に書いた中篇小説と、いままでエッセイから完成度の高いものを撰んで収録しました。小説『ソクラテスという名のポン引き』は収録見送りです。いつか、だれかがリライトしてくれたらとおもっています。 www.seichoku.com

裏庭日記/孤独のわけまえ(出版告知)

文藝を短歌に一本化するために、最初で最後の長篇小説を完成させた。 以下のリンク先で全文立ち読み可能だ。一読してやって欲しい。それがわたしの小説への供養にもなる。次は最後の詩集だ。来年にはだすだろう。 長篇小説「裏庭日記/孤独のわけまえ」 www.…

かげふみあそび

* タンポポの花が砕けてちる跡に城が建つかと見守る猫よ 老母はわれ捨て去りぬ七月の蛇に睨らまるかげふみあそび きら星もあめりか製か運命の時制誤う考古学かな 心臓の澱に漂う過去たちと揺るる午前の月が消えゆく 子供靴発見したり真夜中のサービスエリア…

文章における美意識、あるいはそのほかに対しての射精(2011)

ひさしぶりに現代詩フォーラムを見て 特に意味はないが、この文章を元同級生ハセガワ・マイに捧ぐ ほんの少しのおふざけと息抜きのために あるいは悪文の手本にどうぞ ちくしょうめ。雨がやんでしまった。雨のリズムを糧にしてものを書いていたというのにだ…

両手にはなにもなくて

www.youtube.com * 訪れるわが世の終わり卑語にすらたじろがずにはおられぬ母よ 神学者警官妊婦酔っ払い黒一色の信号機たち 花にまみれ、なぜか悲しい横顔は朝顔市のなかの泥棒 ざくざくと剪らるる枝よ心地よく死ねる場所さえあればよし ひとが飛ぶ翅さえあ…

おれが愛に気づいたとき、その愛がおれに語ったこと

www.youtube.com どこか見憶えのあるような、 なだらかな空気のなか硝酸系の毒物を蒔く 愉しそうな子供たち、大丈夫もう終わりだから 地下鉄工事の終わらない夏休み 眠れない夜をいくつもいくつも数えた、 だけれど、それ、ぜんぶ終わるから。 だから緊急脱…

ささやかな願い

* かつてまだ清きわれなどありはせず水桶ひとつ枯れて立つのみ 大粒の汗ながれたりおもづらに不安が充ちる拳闘士かな 別離のほかに道などあらず静脈の畔に集う農夫のふたり うすらびのかなたにきこゆ声ならば耳をすまそう裁きのなかで けつまずく犬よ死人の…

輝きは祈りのなか

* 旅に酔うわれの頭蓋を飛びながら夏を知らせる雲の分裂 寂しさを指折りかぞえ駅まえの自販機のみに告げる憂愁 苦悩とは愚者の涙か森に立つ告白以前の影法師たち 雨がいう──おまえは隠者 かたわらに水を抱えて眠る仔牛よ わが魂の未明を照らす犀おれば祈り…