みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

かたぶく、かたむく(「古今和歌集」巻第8/離別歌より)

* そうして水銀の、 滴りを ガラス管のなかへ かつてぼくらが若かったとき、 撹拌機のなかで出会ったことを懐いだす あかときの声、 天雲の、 褥 旅立つ春をどうかお赦し給えよ かたぶき、かたむく ──わが梁よ奪え ──わが棟よ踊れ * 果てのない管をたどっ…

十月の黄昏れた海(今月の歌篇)

10月のたそがれた海 * ボール抱く少女のかげを奪う月その影のささやかなる夕べ どんつきに馬現るるゆきどまり去るべき道を失う夕べ 父死せり雲雀のかげを追うせつなまだ見ぬボール投げ合うわれら かたき討ち気分でひとりふかぶかと帽子かぶった秋の長雨 悼…

詩へのリハビリテーション#02

幣/みてぐら みかどの統べる、 あまねく神の、 うたごえの、 みそひともじは やがて妙なるひびきを失い、 あらゆる寵から転げ落ち、 盲いた男系の妄信から醒めず、 滅びのときを待つばかり かれはけだし神官であり司祭であり、 ひとりの老いた夫であり、 父…