みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

鴨歩きの正しいステップ

* 夢から醒めようとする反動のせいか、挙動が少しおかしい。タクシーはエナメルでできていて、とてもキュートだ。でも、おれでないだれかからの指令でとてつもない悪意に変わる。ポケットは空っぽ。なにもない空白のようで、おもわず眼をそむける。砂丘がつ…

夜でなく、夢でもない。

* 屈辱の痼りを解きほぐしてくれるような他者がいない。積年の悪夢、そして中年の危機がわたしを追いかけている。なんだって、そんなていたらくに墜ちてしまったのか。じぶんの手を汚してまで生きてきたせいか、もはや他人のおもいを汲みとってやる情という…

彷徨

* ゆかこというなまえとともに棄て去りぬわが青春の疵痕なども 木馬飛ぶ夢も醒めたり寝汗拭く長男ゆえのさみしさらしさ 花曇る街の静寂を駈けてゆく 罪や穢れのただなかにゐて 葉桜を手にとり給えきみの手でいずれ儚いわれの陥穽 ひとびとが河の姿で流れゆ…

たとえば夢が

たとえば夢が足にからみつく整形外科の窓まで 跳びあがるくらいの勢いでおれは此処にやって来た 緑色の玻璃が砕け散った場所までやって来た すべてがそれらしいだけのつくりもの すべてがうわべだけの世界から あなたの心臓を突き抜け やはりだれもおれを理…

歌誌『帆 han』第2号、オンデマンド先行販売

謹啓、皆様へ。 歌誌『帆 han』をオンデマンドにて先行販売します。下記のリンクから発注できます。よろしくお願いします。 www.seichoku.com 歌誌「帆(han)」第2号 2023春 ★★★★★序──大人になんか解ってたまるものか/中田満帆(2)★特集○鷹枕可歌集(4)…

歌集準備稿(1)

ヘンリー・ミラー全集 * わがための墓はあらずや幼な子の両手にあふる桔梗あるのみ いつぽんの麦残されて荒れ野あり わが加害 わが反逆 暴力をわれに授けし父老いる 赦さるることなきわれの頭蓋よ 青すぎる御空のなかをからす飛ぶ 去りぬおもいを飛びぬけな…

供物狩り

* 倖せという字を棄てる野辺に真っ赤な花が咲くとき 咎人のわれが触れよとするまたたきに鳥の一羽が去ってしまった 河枯れる陽だまりありぬ牛またぐ子供のかずを数える真昼 なみだぐむ玉葱姫よかなしみは心のなかにいつもあるべし 幼さがほまれとなりぬ少年…