みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

relapse

relapse そしてあなたが祈ったあとにも、あなたを苛むものたちは生きてて、 倖せだとしたら、あなたの祈りは無為であり、 あなたがそれまでとおなじか、 さもなくばそれ以上に救われないとしらどうだろう? あなたはあきらめてパンに手を伸ばすか、 それとも…

a fact and dance

fact 午前8時から午后4時と半分までおれは港湾労働をやってた でもある瞬間、なにも信じられなくなった かれらがなにをおれに求めてるのかが わからなくなってしまった おれはうろたえて バナナの凾を落としてしまった だれかがおれを見てる なにも信じられ…

無料詩集「piss out」について

この秋、全国のリトル・プレス、個人詩誌に無料配布すべく、無料詩集「piss out / selected poems : 2003-2019」をだします。'03年から現在までの作品から撰び、30ページほどのパンフレットをつくります。というのもわたしは詩人として横の繋がりが希薄なの…

still hate

for reina terao & sayo takeuchi かの女の声はまるで電話線を通したみたいに聞える かつてハネットがイアンの歌声を録ったみたいに耳に来る なんだかずっとそばにいるみたいに聞えて来るんだ それでもなお知らなかったとかの女はいうだろう べつにそれがほ…

永訣のおもざし

* やがてみな花になるのか鳥になるかはかるか機影の翳むところにて 森しずかなり木の畝にどうしていまもうずくまっているのか いつまでも青傘のなかでかくれんぼしてるふたりの猫が ひとりのみかくれ莨のかげがある雨の降る港その端にいて 牛殺しの花がひら…

missing

for yuri nakakubo なにをやりおおせようともかの女にはわからない なにをしでかそうがかの女にはかかわりがない もはやかの女がどこにいるのかさえも わからなくなってすでに10年が過ぎ、 ぼくは夢のなかで OSSへと あの倉庫へと 急ぐ もういなくなったかの…

酒鬼薔薇聖斗をめぐるショート・カット

* たぶん多くの人間が罰するということに激しいけれど鈍感で、赦すということに屈辱と同義なものを見いだしている。これは偏見である。もちろんのこと、これから書くことはすべて偏見の為せる業である。かれを赦せとはおもわないし、さらに罰しろ、曝せとも…

mind out

おもいはさかる、 きみのことが好きで いつか会えるとぼくはおもってた でもそれはまちがいで、 ぼくはみずからの熾きを消す じぶんのなかで永遠みたいにつづく、 過ぎ去ったものへの恋着や、 マイナー性やなんかに甚だ厭気が差したんだ 休日の静かな路次、 …

エセ詩学の半ダース・パック

* おれの短歌がイッた。歌集のための前準備が終わったということだ。あとは15年分の作品を撰んで本にするということだ。撰はわが師に任せるとして、おれは来週から装丁のためにラフに手を着けることにした。金曜の長い午后のことだ。おれはもう2年、まとも…

貧しき詩集(2007)

* すずかぜや眠る男の夢に吹き一瞬の絵を描きて去るかな 少年の一人の赤きまなこもてピカソの青に病むころもあり 他人の手求む一人の夜行より月の光のをはりへ急ぐ しぐれさす詩の一行の終点をどこに打つかな寺山修司 雁帰る何処ぞと問うも声はなし大方貧し…

祈り

なにもかもが融け合うみたいで、それでもけっきょくすれちがうだけ やがてきみをぼくが発見するという論証はなく、 かれがでていって帰らないという仮説が、 頭をもたげるんだ、 だから週末のモータープールで、 ぼくはうつくしくも祈ったんだ ぼくはあさま…

july pt.2 《今月の歌篇》

* うごくことさえできずにきみが立っているのを観察する植物 でもそれがなんだったかがおもいだせない夏草のかげ くだらないひとだねっていわれるかも知れない大人になりきれないぼくは 花かすみ病かすみのなかでいま身をひらかれるひまわりの種 きっとここ…

コラール

ぼくがいいたいのはそういうことじゃないくって、 たとえば蛍火が夏のラインをかすめていったあとの、 そのガードをいまいちど確かめたいんだっていったあのとき 夏草がえらく繁った港町の稜線、 車が遠ざかる一瞬、 光りが光りでなくなる一瞬、 つまりはそ…

レゾナンス

そのわけを聞かせて欲しいんだってぼくはいった それでもかれはなにも答えなかった いったいなにが始まるのか、 終わるのかもわからないままで、 階段の踏み板を踏む 鉄が軋む どっかで花火みたいに警報が鳴る それがなんなのかもわからないままに ぼくはふ…

縁日の世界《今月の歌篇 pt.1》

* july, july, july,──世界の果てにいきたいんだ世界のすべての七月のなかで もうじき晴れるという報せ来て河床に素足を入れる、ほらこれがきみの羊水 夏色の麦いっぱいの平原を飛べる蝶はるかまだ知らないところで落ちる 虹あがるボーキサイトのかなたにて…