みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

俳句

おれの徒然〈03〉&句篇『氷の山』

★ 1時過ぎて薬を嚥む。20分、床に就く。夢/ドラマの音楽にかかわることになったものの、ロケ地に到着できない。途中、くるりの岸田・佐藤両氏に遭う。かれらと話す。ホテルでは両替が出来ないといい、岸田氏が¥3,000貸してくれた。感激する。佐藤氏がタワ…

偶成(Pt.1)

* 霧雨や切断面に花が咲く 林道の祭り囃子や子供泣く アメリカや混血児が河渉る 春の曲子供のひとりうしろ向く 花曇り女が土のように伏し 酒星も見えずひとりの酌をする 失いし浮世の夢のちまたかな 山の穴出ず一匹の迷い草 雲ひとつ握りこぶしのような春 …

秋ひらく

ふゆぞらに天女来たりぬ督促状 眉痩せる少女の靴がぬめりたり 死せる繭生まれるまえに罰せられ 狐飛ぶ夢見たるや地平線 妬心もてふりむくことの無粋かな 向日葵やせんずり掻いて濁りたり こんぺいとう世界の充ちる音聴く 茜差す世界婦人は臍を嚼む 狂犬病予…

桶水の冬

ビルかげに枯れ野をみてはたちつくす 長子ふと喪われゆく冬の根を掘る 敗れものほおばる葡萄味は灰 老木のよじれに昏き笑み児は 光り零す給水塔の頂きが うつしよよ暈をかむせよ明けの地へ 声なくてひとりの月のわかれぎわ 鉄条網鉄扉へ閉じしイエスのいっぴ…

をとこ来ぬ

ふなかげの淡さの陽炎午睡して 踏む浪や月のかたちに触るるまで 夏の夜に灯台守が泳ぎ着く 海見ては孤独のありか確かむる 廃屋の佇む秋よ尻屋崎 朽ちる家営みもまた暮るるのみ 去るときを地平のなかの棟とせる わがうちの愛猫秋の茎を咬む 冬瓜のあばらに游…

鴎の画(2015)

狐火に降る雨寒夜男来ぬ 飛びかたはなめらかならず鴎の画 画のうちの木工ひとり休息なし 古本と少女はひとつ過ぐ冬の 初冬の男たずさう表紙絵は時化て 灯火のいろいろのみか画面の都市 凪失わば飛ぶそらあらず一羽の青年 飛ぶそらもあらず精神病棟の冬 おも…

Other Voices(2008)

春を皆兎唇のごとき少女らは 密会のまぼろしばかり葉の桜 花ぐもり羞ぢを生きてか夜露落つ 蝶番はずれて訪ふ夜の雨 ゆふれいの足美しき裏階段 鋪道満つしずくやひとの群れみせて 裏口に歌声低くdoorsは ソーダーの壜よりあはれ群れなぞの 鉄路踏みをんなひと…

サービスエリアにて発見

火柱を跨ぐ少女や秋白し 夜ぴって書き終わらないト書きある 訓戒受けまっすぐに蛙喰う ぬばたまの夢よ凾にてわれひとり 支那人の店員われを着服す けもの草質草旅草草枕 パセリ散り屍肉のうえを湯気あがる 花々を弔いながら楡死せり 暗がりの読経の声と夕餉…

晩秋の諧謔曲〈スケルツォ〉

Memories of a dog: Daido Moriyama's Journey to Photography 森山大道 犬の記憶 ブルース (文春文庫) 作者: 桜木紫乃 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/11/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 忌中なりドン・コサックの子守唄 欠伸…

初秋のスケッチ

初秋にて現るるかな死せしひと 秋暮れる雲間にピアノ聴きており 月蝕や喪われゆく未亡人 秋霖の烈しき真昼水を呑む 水にふくれる陽光もやがて秋 遠き火事果肉のような匂いして さすらえるもののみこそ秋の月 犀を飼うわが幻想よ竹の色 瘋癲の死ぬる秋あり保…