みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

インターネットの詩人たち

 


 他人のつくった場所で、他人の書いたものになにかいうこと、
 それは犬がマーキングでしょんべんするのとおなじことだとおれはきょう悟った
 つくらされた態度、つくらざるを得なかった態度で、他人の詩に触れるとき、
 おれはいつもいやらしいやつで、攻撃目標を探してた
 つまらない争いがいまもどっかで起こってる
 かれらかの女らから遠ざかるためにおれは書くことにした
 かれらかの女らが決して認めないものを書こうとした
 カソリック教会の裏手の安いアパートで、
 おれは月々¥41,000ぶんの詩を書こうと決めた
 そしてそいつをじぶんの場所に貼りつけることにした
 もはやだれかのことを気に病んだりしたくない
 だれかの反発を怖れて書くのはうんざりだ
 窃視症の痴れもの、
 そして自大野郎の掃きだめ、
 そんなもんにはさよならだけだ
 きみはきみの場所を、おれはおれの場所を
 きみはきみの手で、おれはおれの足で
 ともかくこれからなにかがはじめろうとするところで、
 この妬けるような、この臆病なノートのなかで、
 互いに立つのをおもいながら、
 受け入れながら書くしかないんだ
 インターネットの詩人たち、かれらは大きく勃起した去勢そのものだ
 インターネットの詩人たち、かれらはいきり立った腐肉そのものだ
 おれはかれらの街を通過する、愛せないものからは通り過ぎるしかないからだ
 街の中心部にむかって、光りが走り、信号が変わるとき、
 きみを待つだれかのためにおれが手をふってやるさ