みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

予感

* 雲澱む雨の予感のなかにさえ慄いてゐる三輪車たち さよならといえば口まで苦くなる彼方のひとの呼び声はなし カリンバを弾く指もて愛撫するわが身のうちのきみの左手 ゆうづきの充ちる水桶ゆれながらわれを誘う午後の失意よ 手鏡を失う真夏・地下鉄の3番…

夏の間奏曲

* モリッシーのごと花束をふりまわせ夏盛りぬときの庵に 待つひともなくて広場に佇める地上のひとよわれも寂しい 蝶服記ひとり観るなり眼病のおもいでなどはわれになかれど ものもらいおもいにふける金色のゆうぐれなどはここにはあらじ いちじつの終わり来…

逆噴水

* 指で以て詩を確かめる未明にてレモンピールを浮かべたそらよ 夢のなかに愛しきものはありはせず河の流れが頭を伝う 荒れ地にて花を植えたり詩語などつつしみながら丘を下れり 待っている 果樹園にただ燈火が点るゆうべをおもい焦がれて 草萌ゆる夏の光り…

cabaret london

www.youtube.com * 毀れやすき殻のうちにて閉じこもる卵男のような少年 箒すら刑具おもわす蒼穹≪あおぞら≫に逆立つ藁の幾本を抜く 幻蝕のさなかの夜をおもいだすたとえば青いライトのなかで 街かたむきつつあり寝台のうえにおかれた上着が落ちる 菊よりも苦…

戦車現る

* 雷鳴のとどく場所まで駈けてゆく光りのなかの愉しい家族 駅じゅうにおなじ女が立ちふさぐ地上に愛のなきことに啼き 友だちがいるならいずれわが骨を拾わすといいてひとりの夏 隠さないで──きみのうちなるぼくがいう驟雨ののちの光りのなかで 夏またぎ 自…

樹皮濡れて

* 夜なべてほむらをかこむきみのためくべる夏の樹燃え落ちるまで すべての朝のためにできるのはきみのため息燃やすことのみ やがてまたぼくが終わろうとする夜に蝉のぬけがら一切を拒む なが夢のさなかに存ってわが咎をおもいだしたりさよなら人類 青嵐去っ…

八月のレパートリィ 

* 声ばかり此処にはありておきざりの敗馬眠れる夜のれいめい なおさらにきみをおもえばゆうぐれのおわりのいちごくちにつづめて 公園の見張り塔にて子供らの兵士たちかな銃声もなく たそがれに凋む風船・いくつかの断章ばかり果てて転がる アキレスの戦いば…

夏の嵐

www.youtube.com * 夏の嵐 かぜにまぎれて去るひとかげを追っていまだ正体もなく たれゆえに叫ばんか夏草の枯るるところまで歩めるわれは 浴槽が充ちる早さで夜が凪ぐ嵐のあとの傍白を聴け なにもかもが淡いよ夏のかげろうの辻をひとりで帰る足許 醒めかけ…

友だち

洗いざらしの衣類のなかで、リーバイ・パタの詩画集をひらく 女のいない男がしてやれるのはたったそれだけのこと コインランドリーが不法占拠されてしまう夢を ついさっきまで見ていたんだよ もしきみが電話をかけてくるならば、 ほんの少し孤独を信じられる…

a missing person's pressカタログ

ampp-001 38wの紙片 ×絶版ampp-002 for MISSING/The magazine Vol.01 ×絶版ampp-003 38wの紙片[second edition] ampp-004 終夜営業|Open 24 hours |発送受付ampp-005 kaze-bungaku / mitzho nakata 5 demo tracksampp-007 世界の果ての駅舎 詩群2014-2016…