みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

no future for me

今月はきびしい。のっけから5万も蕩尽してしまい、喰うのにも困った。幸い、知人から金を借りられたり、ちがう知人から野菜を送ってもらったりで凌いだり、そしてきょうは炊きだしに並んだ。まったく久しぶりのことだ。そのいっぽう、ネット料金の請求書が3…

Other Voices(2008)

春を皆兎唇のごとき少女らは 密会のまぼろしばかり葉の桜 花ぐもり羞ぢを生きてか夜露落つ 蝶番はずれて訪ふ夜の雨 ゆふれいの足美しき裏階段 鋪道満つしずくやひとの群れみせて 裏口に歌声低くdoorsは ソーダーの壜よりあはれ群れなぞの 鉄路踏みをんなひと…

自画像(2009)

十一月 猫がはるか 地上に走つている 暴きたてられてやまない ものが黒から到着と出発 を同時刻に描きだす午后 だつた──おれは救貧病院 のあたまのうえに立ちながら みずからを曝すための自画像 について見えない停車場 から発想を待機していた それはあらゆ…

広告(2009)

12月2日「産経新聞」夕刊、第三文明および文芸社の広告より つまらない室の まつたくつまらない夜 ふたつの新聞広告を見ていて それもくだらない ことなのに眠れないあたま が長い時間を与えられたために 考えさせられる たとえばこれ── 人類にとつて「善」…

雨のなかのひと殺し(2009)

中降りのなかをおまえは立っていたね。時刻を確かめながら午后を全身に浴みてほほえんでいた。ちょうど仕事を終えてのところ、雨衣のうちがわにたくさんの死に顔を匂わせておまえは雨のなかにいた。 雨は言の葉をそのおもてをなめらかにしてくれる。そのした…

ふたたび去つていくものは(2007)

少しづつひらかれるまなこを ふたたび去つていくものは 手のひらへ あるいは風のなかへ落ち 現れてくるのは青と黄の格子 二月のかもめがゆつくりとかすめ あらたな軌道を知らす これが朝なのか夜なのかもわからず きゆうにかれが立ち上がると 見知らぬひとび…

花ざかる野(2018)

* 草の枕の、 初霜の光るを なにとぞお納めくださるよう 再度申し上げる あなたのおまざしのなか わたしめの、 ふとどきな熾きなぞ、 忘れ給ましめ、 かりそめの、 歌。 * おれはおまえのまなざしを避けて遠ざかる、桜桃 たしかにさっきまで足を鳴らし 愉…

枯槁(2018)

頬を打て 小径から冷めた霧の、 遠ざかる、 みそひともじの歌声は、倫理の、 呼びかけと はらからのうらぎり うつくしい児や、 《まなざしの》 うらめしい児や、 《まなざしも》 みてぐらとともにおまえの日の戯れも、 火のなかへ焚べてしまえ、 藤袴。 石は…

文体練習

名づけられたものの、冥福を祈ること、なんて雨よりもただしい文法で、たおやかななにかにつつまれて、濁る靱帯 さてわたしは行動様式の変換を求めて、いなづまのやさしい句読点に悩みながら、またしても解体現場に落ちる木片の旅情 やがて、噫、ここが体言…

それはまるで毛布のなかの両手みたいで

いまでもこの場面を路上で叫ぶものがいる 幾晩も眠れない夜を送った 夜のほどろにはそんな人間ばかりががらくたみたいにいる いまのわたしがどうなっていくのかを観察しながら 燃えあがるスカートを眺める 水鳥が死んでる 片手には斧、 もう片手には愛が咲く…

映画「ジョーカー」を観た、──そのほかのこと

11/01-5 今月は先月末の欠乏の反動で散財。酒に酔って金を喪った。この時点で5万遣ってる。 11/06 映画を観にいくつもりが酒でだめになる。届いたリュックがカメラ用だったことがわかる。飯を仕入れる。巨きな軍用リュックを背負って。夜、でかいサイズのも…

だからその花があるわけがって、かの女がいったから、

* かの女らのけもののような黒髪のなかにわずかな町も枯れゆく なぐさめてみればいいよと声放つ木々のあいだを駈けるくるぶし 繋ぐ手のなくてひとりの10月を終わりたりいま竈にくべおる ただ見つむこと罪深くあればいい秋の終わりの黒帽をふって 樫により冬…

facebookへの短いお別れ

最初にこの場所にアクセスしたのには'10年のことだった。夜更けの娼婦街を歩きながら、丸窓をアイコンにした。わたしにいえるのは友だちとはせいぜい夜のいとなみのよううなようだ。多くのひととつながった。わたしに友だちといえるのは夜学のそれだった。'…