みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

6gatsu/june

 


 おれがビールとベビーチーズを愉しもうとしてるとき、
 汽車がながれ
 挨拶を忘れ
 大事だったはずにものも
 意図を失って白い
 噛みつきたい、
 あたらしくなった食卓に
 いまにならべられる図鑑のなかで
 あなたの発条が顕わになって、
 恥ずかしいって声も、
 むなしく、
 粛々と、
 歯痛が始まる
 映像は右だ
 どうぞ、
 参拝がお済みなったひとから、
 指を折ってください
 たぶん、もう、
 おれが殺した助詞たちのせいで、
 6月の雨が愛にしがみつく
 靴下は小さいころから
 きらいだった
 べっとりとした汗
 汗ばむ膚
 そのときいちばんめの妹が蒲団で爆発する
 男たちのなかで起こったイリジウム被爆によって、
 つぎにたったひとりの姉がスカートのなかで妊娠する
 女たちのなかで起こったプリペアド奏法によって、
 そしてそのあとにつづき、ほかの妹たちが腐葉土のうえを素足で歩き、
 長い怠惰のなかで愛しいものを見失う、
 フッサール全集を抱え、
 爆弾のように通りに弾けてしまう妹たち、
 あらかじめ菩提樹を失った同志たちと、
 それこそ仲睦まじく降りていき、
 いまではなにも見えなくなった
 そして浸透、
 そして休憩、
 死んでいったものたちにできることは人参の調理
 まだ食べ終わってないものから、
 ふたたび語りは訪れる
 からだを穢し、
 足を洗う
 直送の
 鮭、
 それは脳髄を清めるようにつめたく、
 欲望を赦すように赤い
 おれはきみの手を取った、
 (望みのままに)接吻をして、
 (渇きのままに)抱きしめた、
 如雨露の柄を握りしめたまま、
 きみをも戦場する光りがまた、
 蛙どもとともに後頭部を過ぎた、
 それでけっきょくおれはビールとベビーチーズを愉しめたのか