水化粧して傘が放つ色気、あるいは微笑み 持ち主をよそ目にかれは大きく誘う 光りやら風やら色のない色を きみは遠いところから来た、真っ白い秋だ
狭路を丘へのぼる車 その咳払いは道路改修工事へ 照明の光線に雨は暖かく、やわらかい べつに好きだってわけじゃないが きみの群れを見て安堵したよ
音が道を剥がしていく 掘削機の唸りと作業員の叫びは かつての舗装と個人の空しさを葬った きみが笑いながら過ぎる 立ち止まってだれもいない秋晴れを思った
けっきょくは寂しい 道づれのない、力み返ったゆびがいるはずないひとに触れる か細い幹になまえを刻もうとしてみずからを傷つけたような 痛み
ああ、土色が見えてきた 光りのまえにふたりの男が立っている 黄色いヘルメットが青いヘルメットへ叫ぶ あの車、女の子乗せたまま行った!
そんな声が発ち、傘のないおれをきみは少しだけ見た 孤独や意味を歩道へ落としながら おれは解釈の糸をたぐり、見知らぬわが家へ向う