みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

午睡

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 だれかが去ったあとで、
 残れた軍手みたいに
 だれかのライスが
 路上にあがる
 湯気のなか
 饂飩を3つ抱えて
 みどりごみたいにあやしつづける
 ルンバが氾濫するところで
 裁判が始まる
 幸いにも
 るん、
 と
 して、
 みな悦ぶ
 情景
 玄米定食、
 あるいは吊された葡萄
 われわれは発酵するまで
 待ちきれない
 酒ができあがるまで
 倍音の緊張が高まる
 添加物に負けず、
 腎臓に絶えず、
 健康にも呑まれず、
 ただ、ただ、ただ、
 おのれの汎神に立ち向かう群れなのだ
 もっと、もっと玄米を
 もっと、もっと定食を
 数えながら厭き、
 天体にまみれて、
 みうごきのとれないやからが
 赤いトラクターで疾苦する
 小林旭よ、
 男はみなきれいなひとごろしなのか
 天国へいきたくないからか、
 撲殺を免れた一匹の枕詞がキュートに踊る
 スタートはどこだ、
 (ヒーターの電源を入れろ)
 スタートはどこだ、 
 (前立腺に雨が降る)
 スタートはどこだ、
 (膵臓の融けるブールのそばに立って)
 スタートはどこだ、
 (もういいんだ)
 スタートはどこだ、
 (あなたがたの幸いを祈り、ここでおれは軍手を拾いあげるだろう)