みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ある夜(夢日記、'07年7月12日)

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 ある都市の小さな通り。ぼくは兵士になっている。白い兵士(同じ日本人、造反かなにかか?)とこれから銃撃が起こるらしいのだ。あたりはまったく静かでなんの気配もない。しかしぼくは恐怖のあまり溝に伏せ、死んだふりをする。すぐ目の前に死体があり、それを参考にして。

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 不意に銃声がした。顔をあげると兵士たちの多くはどこかに去り、女たちが避難の準備をしている。もうじき空襲があるという。ぼくは拳銃を取り出して弾を確かめる。四発中二発しかない。溝の外にいる兵士に弾をねだる。かれは二発くれた。
 「銃はあるのに弾がまるでない」
 ふたりしてぼやく。拳銃は(現実にあるのとは)変わっていて、見た目は自動式なのだがカートリッヂはなく、本体をふたつに折って直接装填しなければならない。ぼくは弾を入れようとする。しかし遊低を引いてしまい、一旦撃たなければならなくなった。

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 何発か撃ったあと空襲が来た。巨大な装甲車が砲弾を打ち上げながら向かって来る。ビルの柱に隠れつつ、ぼくは安全を求めて急ぐ。百貨店の一階は死体の展示会がやっている(そんなところに逃げたくない!)。ビルの前では作戦会議が行われ、深緑の制服を着た若い将校が拳銃自殺した。ぼくは閉店間近のレストランに入ると女給に訊く。
 「トイレはどこですか?」
 便所に篭もって軍から逃げ、戦いのどさくさに逃げようと考える。
 「案内しましょう」
 彼女とともにエレベータに乗った。三階で降りてトイレの前へ。茶色い扉の前に広告が垂れている。詩集の宣伝だった。既刊の赤帯は****、黄は****、新刊の白は宮澤賢治。《買ふべし!》と書かれてある。ぼくは女給に逃亡を告白した。
 「もしよかったら一緒に逃げませんか?」 
 彼女は驚いたようにぼくを見る。密告を恐れたぼくは小銭を握らせ、
 「このことは黙っててください」
 そういって便所に入る。しばらくして彼女が戻ってきた。どうやら一緒にいてくれるらしい(いつのまにか彼女は青い着物姿になっている)。泣き出しそうな彼女と何度か口づけをした。いよいよそとが騒がしい。

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