みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

2023-01-01から1年間の記事一覧

犬を裁け──来月の出版物

来月の出版物です。過去に書いた中篇小説と、いままでエッセイから完成度の高いものを撰んで収録しました。小説『ソクラテスという名のポン引き』は収録見送りです。いつか、だれかがリライトしてくれたらとおもっています。 www.seichoku.com

裏庭日記/孤独のわけまえ(出版告知)

文藝を短歌に一本化するために、最初で最後の長篇小説を完成させた。 以下のリンク先で全文立ち読み可能だ。一読してやって欲しい。それがわたしの小説への供養にもなる。次は最後の詩集だ。来年にはだすだろう。 長篇小説「裏庭日記/孤独のわけまえ」 www.…

かげふみあそび

* タンポポの花が砕けてちる跡に城が建つかと見守る猫よ 老母はわれ捨て去りぬ七月の蛇に睨らまるかげふみあそび きら星もあめりか製か運命の時制誤う考古学かな 心臓の澱に漂う過去たちと揺るる午前の月が消えゆく 子供靴発見したり真夜中のサービスエリア…

文章における美意識、あるいはそのほかに対しての射精(2011)

ひさしぶりに現代詩フォーラムを見て 特に意味はないが、この文章を元同級生ハセガワ・マイに捧ぐ ほんの少しのおふざけと息抜きのために あるいは悪文の手本にどうぞ ちくしょうめ。雨がやんでしまった。雨のリズムを糧にしてものを書いていたというのにだ…

両手にはなにもなくて

www.youtube.com * 訪れるわが世の終わり卑語にすらたじろがずにはおられぬ母よ 神学者警官妊婦酔っ払い黒一色の信号機たち 花にまみれ、なぜか悲しい横顔は朝顔市のなかの泥棒 ざくざくと剪らるる枝よ心地よく死ねる場所さえあればよし ひとが飛ぶ翅さえあ…

おれが愛に気づいたとき、その愛がおれに語ったこと

www.youtube.com どこか見憶えのあるような、 なだらかな空気のなか硝酸系の毒物を蒔く 愉しそうな子供たち、大丈夫もう終わりだから 地下鉄工事の終わらない夏休み 眠れない夜をいくつもいくつも数えた、 だけれど、それ、ぜんぶ終わるから。 だから緊急脱…

ささやかな願い

* かつてまだ清きわれなどありはせず水桶ひとつ枯れて立つのみ 大粒の汗ながれたりおもづらに不安が充ちる拳闘士かな 別離のほかに道などあらず静脈の畔に集う農夫のふたり うすらびのかなたにきこゆ声ならば耳をすまそう裁きのなかで けつまずく犬よ死人の…

輝きは祈りのなか

* 旅に酔うわれの頭蓋を飛びながら夏を知らせる雲の分裂 寂しさを指折りかぞえ駅まえの自販機のみに告げる憂愁 苦悩とは愚者の涙か森に立つ告白以前の影法師たち 雨がいう──おまえは隠者 かたわらに水を抱えて眠る仔牛よ わが魂の未明を照らす犀おれば祈り…

#私を構成する42本

トーク・トゥ・ハー 殺しの烙印 ベティ・ブルー ラブ&ポップ buffalo'66 パリ、テキサス 初恋・地獄篇 酔いどれ詩人になるまえに 大病人 パリの確率 汚れた血 コントロール ポイント・ブランク 殺しの分け前 危いことなら銭になる シティ・オブ・ゴッド ロ…

わが晩年に於ける執筆の企み(2011)

おそらくこれを幼年の、なにも話せなかった自身に 秋が遠のいていくおとが聞える。その響きはどこかしら落下音に似ている。暗い穴がふかく存在していて、そのなかに硬貨がひとひら沈んでいくような、そんな印象を受ける。これはおそらく季節の欠字だ。わたし…

私を構成する42枚

#私を構成する42枚 https://twitter.com/mitzho_nakata/status/1668250258885812225?s=20 以下のサイトにて作成しました。 www.neverendingchartrendering.org Twitterのトレンドに参加するってことは、ほぼないんだけど、この話題にはどうしても乗りたかっ…

『水を呑む男』vocal retake

www.youtube.com 「水を呑む男」capo=1f F7 F#7 G A# AonE CM7-9 G うなだれてうろついて 壁に立ち這いまわる よるべない室のなか はつ夏の窓が舞う 水甕が落ちて来て 花びらがはち切れる カンバスのうえでいま 自画像 ゆれている ちらばった筆をとり あたら…

さみだれ

* 人間という病いは癒えず真夜中の修辞のひとついま見失う 雨季来たり帽子の比喩を探さんとするに紫陽花暗し 道わずか残して来たり夕月のもっとも高き空を見上ぐる わが過去の贖い終えていつの世か役目を終えて退場するか なにもかもさかりを過ぎて萎れゆく…

鴨歩きの正しいステップ

* 夢から醒めようとする反動のせいか、挙動が少しおかしい。タクシーはエナメルでできていて、とてもキュートだ。でも、おれでないだれかからの指令でとてつもない悪意に変わる。ポケットは空っぽ。なにもない空白のようで、おもわず眼をそむける。砂丘がつ…

夜でなく、夢でもない。

* 屈辱の痼りを解きほぐしてくれるような他者がいない。積年の悪夢、そして中年の危機がわたしを追いかけている。なんだって、そんなていたらくに墜ちてしまったのか。じぶんの手を汚してまで生きてきたせいか、もはや他人のおもいを汲みとってやる情という…

彷徨

* ゆかこというなまえとともに棄て去りぬわが青春の疵痕なども 木馬飛ぶ夢も醒めたり寝汗拭く長男ゆえのさみしさらしさ 花曇る街の静寂を駈けてゆく 罪や穢れのただなかにゐて 葉桜を手にとり給えきみの手でいずれ儚いわれの陥穽 ひとびとが河の姿で流れゆ…

たとえば夢が

たとえば夢が足にからみつく整形外科の窓まで 跳びあがるくらいの勢いでおれは此処にやって来た 緑色の玻璃が砕け散った場所までやって来た すべてがそれらしいだけのつくりもの すべてがうわべだけの世界から あなたの心臓を突き抜け やはりだれもおれを理…

歌誌『帆 han』第2号、オンデマンド先行販売

謹啓、皆様へ。 歌誌『帆 han』をオンデマンドにて先行販売します。下記のリンクから発注できます。よろしくお願いします。 www.seichoku.com 歌誌「帆(han)」第2号 2023春 ★★★★★序──大人になんか解ってたまるものか/中田満帆(2)★特集○鷹枕可歌集(4)…

歌集準備稿(1)

ヘンリー・ミラー全集 * わがための墓はあらずや幼な子の両手にあふる桔梗あるのみ いつぽんの麦残されて荒れ野あり わが加害 わが反逆 暴力をわれに授けし父老いる 赦さるることなきわれの頭蓋よ 青すぎる御空のなかをからす飛ぶ 去りぬおもいを飛びぬけな…

供物狩り

* 倖せという字を棄てる野辺に真っ赤な花が咲くとき 咎人のわれが触れよとするまたたきに鳥の一羽が去ってしまった 河枯れる陽だまりありぬ牛またぐ子供のかずを数える真昼 なみだぐむ玉葱姫よかなしみは心のなかにいつもあるべし 幼さがほまれとなりぬ少年…

世界の終わり

* 暗がりの道で迷子にならぬようきみの手を引く幽霊の声 時にまたひとり裁かれながら立つ図書館まえの駅の群衆 チョコレートバー淋しく齧る午后の陽よいまだなにも了解せず 秋の水光れるなかを走り来て憂いを語る少年もゐる ジューサーのなかの果肉が踊りだ…

たとえばぼくが鰊だったら

error code:721 コピー用紙のうらに書かれたおれの調書が 夜に発光するさまを12インチのフィルムが捉える ものがみな逆さにされた室で、 朱い内装のなかで男が、 朱いベッドのうえで泣いてる こいつはだれなんだ? やがて男の妻がやつをなだめる 「どうして…

自由論・その後

* 倖せという字を棄てる野辺に真っ赤な花咲くとき 咎人のわれが触れよとするまたたきに鳥の一羽が去ってしまった 河枯れる陽だまりありぬ牛またぐ子供のかずを数える真昼 なみだぐむ玉葱姫よかなしみは心のなかにいつもあるべし 幼さがほまれとなりぬ少年は…

EP「kaze-bungaku」、ディスクユニオンにて発売中です。

18日より、EP「kaze-bungaku」、ディスクユニオンにて発売中です。 diskunion.net

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」 #わたしの2022年 大したこともできないまま過ぎてしまった。映画はほとんど観てない。本も読んでない。くだらない消費行動の累積。そして金欠。ベッドをようやく買い、ガットギターを買った。あとはなにも…

2022年に観た映画&見逃した映画

*観た映画篇 シン・エヴァンゲリオン(再見/Amazon prime) www.youtube.com やくざの横顔(Amazon prime) 林檎とポラロイド(シネ・リーブル神戸) www.youtube.com あしたのジョー(ダイニチ映画版/Amazon prime) www.youtube.com コントロール(再見/A…