みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

両手にはなにもなくて


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 訪れるわが世の終わり卑語にすらたじろがずにはおられぬ母よ


 神学者警官妊婦酔っ払い黒一色の信号機たち


 花にまみれ、なぜか悲しい横顔は朝顔市のなかの泥棒


 ざくざくと剪らるる枝よ心地よく死ねる場所さえあればよし


 ひとが飛ぶ翅さえあればおれだって云々かんぬん閑話休題


 ふり返る貌はかの女でなかったね かげりゆくなりわが誕生日にて


 おもさがあるだけで 存在するとはかぎらない夏の街


 着古した制服ばかり透明な夏の花櫚を撃てよおまえは


 製造過程ひとつ忘れて耳のない象のおもちゃがいまを切り裂く


 じゃぼんという音が跳ねて気づくとだれもない浴槽にわれひとり


 ぬくぬくと毛布のなかでくり返すあの日の夜の約束忘る


 両手にはなにもなくてもいいのにな果実くすねるわれのうしろよ


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