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6階の少女はひとりうつむける涙の雨を捧げるために
光りなき両眼のうちに喪えるなまえのあったものたちなどを
星幾多あれどもわれの手にはとどかず伊弉冉さえも憐れな眼する
点描画の世界が濡れる滲む点いくつかに祈りいくつかにふるえ
窪地にてさまようひとら空爆の黄昏ばかり響く夕べよ
擦過音幾度おもうかのひとのまなこのなかのぼくの心臓
刻暮れてなおまだ歩むことできず傷口のような袖を捲るのみ
最果ての地をばおもえる光り降る共同墓地の廃車のなかで
「きょうを生きよう」と歌いながら生きるに厭いて暮れる道すがら
更けて猶ひらくまなこよ夜はただ横たわっているばかりなり
心臓も凍る夜ふけてゆく町の存り方おもう解体現場
夜も日も20時間の企みに坐りつづける交通量調査人たち
星ひらくつぼみのような輝きを残して消ゆる天体図にて
ももいろの女陰に捧げるものもなく己が名をみな棄てる男ら
忘れてしまおう ガラスのような雲から覗き込んでるのはぼくじゃないから
干し芋のわびしさばかり嚼むことをおもいだしつつ始発を待てり
流木に蟹の棲み家を見つけたる幼きひと日いまを慰む
旅草の乏しき朝よすきっ腹に衣被してゆくせつなさよ
触れることもなかろうとその膚をみつめて涙ぐむひと
ほらまだ待ってるといいながら水ばかり呑む男がいるよ
子供らの駈けて明るくなる地平やがて食べたるみずうみビスケット
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ZAZEN BOYS - 六階の少女 (Sixth Floor Girl)