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絶つ定め あるいは祝賀歌いたる余生のなかの雁の啼き声
身を放つ 窓の眺めが光りする、いつかのような死へのあこがれ
きょうもまたさよならする両手 幽かなひとのかげまだ残る
車蜻蛉・アンドロメダよ銀河するおれの永遠曝す午後2時
時と時の硲よ いまだ知られざるわが誕生の日の陽だまり
青かびのチーズが臭う食卓にわれも知らない小人が登る
私性なき詩を書きためてやがて死ぬわれら世代の青き黎明
男めら鍬降り下ろす麦畑に一羽の希望墜落したり
永い夢ふいに眼醒めるときにおり片手で林檎握つてゐたり
少年のマントひらめく夜がまだ若い顔して帽子をかむる
夏がまたわれのうちなる戸を叩く季節の声を遮りながら
もの憂げな猫の眼球運動す 藪の彼方で輝きながら
わかれわかれのY字路遠くわれを呼ぶもはや失くした憧れのため
涙 大人になったぼくをまだ信じられない紫陽花の花
吊るされしトミノの地獄壜を吐く実験室にがらすの天使
拓かれし荒れ野のなかの刈り人はみな遂に帰らず
手心もなくてわれをば否定する若い男の死んだブルース
暮れる陽よみどりのなかに沈みゆくわが一切を忘れ給しめ
ひとびとはどこへゆくのか花鋏錆びつつわれを待てる夜
言葉なき歌が聴ゆる 夏がいま帽子をぬいでこちらにむかう
さびしんぼう ぼくのおもいをすりかえる あついばかりのこのくやしさよ
または陽の残照よ 詩を書くひとが浮遊しながら没落したり
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