2021-08-13 水 詩 水の夢を観た 水を呑む夢でなく、 水にまつわる夢でなく 水そのものの夢 個体が液体になったのか 自我が消失したものか ぼくにはわからない その夢のなかでは 光りと気泡だけで 魚も舟もない アルコールの陶酔感もないなかで、 ぼくは水の記憶というものに触れたような気がした 夢はそこで終わり、 やがて現実の彼方から窓がひらく 大きな嘴をした水鳥が、 泥濘んだ畔を歩き、 そして飛ぶ ぼくは墜落しながら、 この作文をしあげようと、 必死になってベッドを泳ぐんだ