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発条の不在やひとりかくれんぼ発明以前の愛のまなざし
鏡との婚姻ぼくの手のひらが熱くなるなり ときめきテレパシー
花ひらく 蕚のなかをいま泳ぐ群小詩人と夢の諍い
繭眠る糸の一条われをまだ赦さないかのように搦んで
なまえなくひとり不在の花撰ぶ学校花壇の雨後も暮れゆく
隧道の子供のなかに谺して遠くかすかに聞える吐息
ひとりでに機械が回る眼が廻る蜂の飛び交う油のうえを
愛やも知れず ポラロイドに銀残しの光りあって
目醒めるとき 羊のような顔した泥棒ひとりポーチにひとり
ゆうなぎの歌よひとりのパンケーキ喰うたそがれの国にゐながら
みどりごのくちびるひとつ奪い去るかぜのむくろの悲しさがある
泳ぐ鳥書物のようにひらかれた羽根のなかにて生きる青空
雨季ちかき町のよすがよ書を閉じて夜の果てへと流し給しめ
空をわる紙飛行機の憂鬱よわが胸に来いわが夢を奪え
わが夢のセツナのなかを漂えば発熱時代の幼子は《自我(ぼく)》
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