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なまぐさき死せし魚を売る店も鱗のなかに紛れん夜よ
アキアカネ暁に遇い新しき季節のあいま飛べばあやかし
入り口と出口でがともに繋がるる輪廻のなかの永遠の秋
立樹わる木々のなかにて眠るものみな伐られては竈火となり
遠い夜――火事の報せを聴きながら秋の川上水嵩を増す
縁日の世界のなかに消えてゆくおもいで遊びの呼び声ばかり
狐火のなかに斃れて幾星霜生きながらえる妹だらけ
言葉の眠れる墓地ありぬ秋の最果てゆるりと歩む
色がみな褪せて眠りのなかにあって葡萄の蔦もわびしいばかり
語りべの滅びのなかで眼をひらく秋の祭りの光りのゆくえ
涙なぞ流すものかとおもいつつきみの不在の永久にわれ充つ
静思する電気設備士たちの午いまだ知らない室に燈があって
燃えあぐる納屋の昏さに祈るのみチェレの眸のなかの祝祭
雲垂れて祭りの花を買いにゆくふとわれがのみが御面を持たず
秋水の湛えられたる桶ありてわれは頭上に月を捕らえる
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