みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ゆれる潮


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 刈りがたしおもいもありぬ秋来る颱風過ぎてすがしい原っぱ


 みずいろの兎が跳ねる 妬心とはまだ見ぬきみにたじろぐ時間


 神さまがくれたクレヨンなどといいぼくを欺く女学生たち


 波たゆるいつかの秋がぎらぎらと迫り来るなり男の内部


 姿鏡あり浮かべてわれは宙を蹴る くれない坂の始まる場所で


 道もなき芒原にて星を見る 消滅を待つ一族として


 救いなどあらず流砂のかなしみをあつめて羨しともだちの指


 午後線のびっくり水が暴れだす手鍋のなかのぼくの革命


 おもわくもなくて秋草眺めやる地域猫すら不在の時間


 野焼きするわれらが野辺に莇咲くなべてこの世の滅びを讃え


 坂といえ降る足さえ確かさを失いながら消えゆくなか


 夜の河 みなが眠りに就くなかを流れて悼む夏の終わりぞ


 水汲みの汲み桶われるひざかりの木立ちのなかで爆発ののち


 ささがきの笹のみどりがきみを射る そんな妄想ばかりするおれ 


 ひとりゐることの刹那を逃れたくひとりの女われは幻視す


 ゆれる潮 国家略奪計画を夢想するわれの指に冷たい


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