みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

天籟とピンボール


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 獅子神の蹄のあとに咲き誇る花があるらし血の匂いする


 やまなみに融けるものみなすべて秋暮れてたちまち花かげもなく


 社会性なきゆえわれに降りかかるプレヴェールの枯れ葉のあまた


 自裁ならずして存ることのなさけなさか道失えるきみ


 波に咲く花かとおもいふりかえる照らされながら去る枯れ葉みて


 くちなしの花のようには愛せない きみたのためこそおもうがままに


 惑う鳥頭上を過ぎていままさにひろがるばかり黄金律は


 鉄梃に打たれ路上に横たわる扉のなかの使者らしき声


 陸橋も眠れる夜もありましてひとの心を奔る霜月
  
 
 関係性にまぎれる犯意少年はもはやソプラノでは歌えず 
 

 時なべて喪うばかりひとのかげ われをひとりにして月光る


 天籟とピンボールのはざまゆく比喩に充ちたる男の歩み


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