*
草の枕の、
初霜の光るを
なにとぞお納めくださるよう
再度申し上げる
あなたのおまざしのなか
わたしめの、
ふとどきな熾きなぞ、
忘れ給ましめ、
かりそめの、
歌。
*
おれはおまえのまなざしを避けて遠ざかる、桜桃
たしかにさっきまで足を鳴らし
愉しんでいたのに
もはや、
稲妻
だれかが
おれを捕まえようと折ってくる
祈る場所を探してるんだ
来い!
渓谷のふかい、
ハイウェイを走り、
やがてここにたどり着くまで
おれはかつてきみを探してた
求めてた
そして利用すらしてた
でもそれも終わって、
鰯、──その切り落とされた頭をなでてる
おやおや、もうこんなに腐れてしまって
憐憫なんかくその役にも立たないのに
きみのことが欲しかった
露草の色や、
ゆれる天体や、
紡錘工場のかげ、
みたいに
去る冬の夜
はじめておれが撲った男は
鼻骨を折られ、
上顎に皹を入れられた
かわいそうに
かれはパチンコホールを愛してた
もうじき執行猶予が終わる
花ざかる、
野の、
*
水の枕の、
初夏の光りを
なにとぞお納めくださるよう
再度申し上げる
あなたのおまざしのなか
わたしめの、
ふとどきな熾きなぞ、
忘れ給ましめ、
かりそめの、
辞。
*