みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

「七星闘神ガイファード」1996年


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 この番組を本放送で3度ぐらい見ている。第8話「宿命の対決!」と第15話「復讐の赤いバラ」、最終回だとおもう。当時のわたしは小学6年生だった。そのときは大した感想もなかったが、先日あらためて全話観たので、書いていこう。

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 本作はWikipediaにあるとおり、東宝がつくった「電脳警察サイバーコップ」以来の等身大ヒーローだ。風間剛=ガイファードはガイボーグ(サイボーグ)と、地球外生命体ファラーの力の融合によって変身して戦う。全26話とみじかく、展開が早い。強敵が現れた、とおもったら次回には倒されているという感じだ。敵の組織クラウンの目的も変転する。当初は、改造された人間を兵士として海外に売るという話だったが、第2部ではファラーを世界中にばらまき、人工的に人間を進化されることになり、第3部ではガイア・ネットによる天変地異を起こし、人間を根絶やしにすることに目的が移る。正直、この辺は違和感を拭えない。間に合わせの設定に見えてしまう。第2部では主人公を組織に引き入れるという思惑も提示されるが、途中で立ち消えになっている。wikiではゾディアックが一貫したひとりの人物のように書かれているが、実際は途中で「ホンモノの主導者」に入れ替わっている。まあ、もしかしたらなまえだけ変わったのかも知れない。ただどうにも辻褄が合わないところが多々ある。
 主人公の兄・将人は数ヶ月行方不明になり、そのあいだに改造手術を受けたようなのだが、主人公とおなじく、ガイボーグとファラーの融合体であるはずなのに、クラウンはあくまで主人公を捕獲して、その身体を調べようと企むのだ。なぜ、兄で成功しているのに弟を狙うのかがわからない。これは明らかな矛盾だ。
 敵の女幹部・紫苑は機械化されたあと、第15話「復讐の赤いバラ」で死ぬのだが、なぜ幹部が一般人の撃った拳銃で死亡するのかもよくわからない。組織内のパワーバランスがどうなっているのか、機械化されたのにたかが1発の弾丸で死ぬのか、戦闘員程度でしかないのか、それよりも紫苑が放ったナイフで肺にまで達した刑事が生きているのが不釣り合いな気がする。さらにかの女は《脳だけをメタルマスターに回収され、ファラー搭載ミサイル発射プラントのコンピューターに組み込まれてしまったが、改心した脳がガイファードに協力》したのだが、ガイファードはかの女の脳ごと機械を吹っ飛ばしてしまうのだ。なんとも不憫である。

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 単純に映像作品として観るに、「ガイファード」はドラマ性に優れており、また映像もきれいだ。合成も違和感がない。4年後につくられた東映の「仮面ライダークウガ」よりも、その点は勝っている。敵の造形は「クウガ」よりも優れている。ただやはり2クールという制約が足を引っ張ったという印象がある。もっと連続ドラマとしての要素があれば、もっといい作品になっていただろう。
 改造人間の葛藤、理解者の出現、目的の達成――まるで「仮面ライダー」が表現しきれなかった部分をカバーするように、補完するように物語は進む。そして最終話、主人公と兄は、地球の平和と引き替えに肉体を喪い、去っていく。ヒーローのリリシズムをここまで昇華させた、この作品を賛美したい。

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