みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

クール誕生

                                                                                                        for O

 ことばのなかではどこだってゆける──19歳のぼくはそうおもっていた
 するとこの世界はどの現在をたどっているのか──40まぢかのおれはおもう
 乾いた助辞と接続詞をやりながら、わたしはやってきた
 迷いと索漠のなかで準急列車が梅田にむかっている
 わたしは入り江を求めてさ迷う釣り人みたいに
 この畦にたどり着いたんだ
 きみはいまどこにいる?
 きみはなにを撰ぶ?
 風上に立った老人たちが石蹴り遊びをつづけるように、
 きみも縁日の世界へと旅立ってしまうのだろうか
 やめておくといいい、
 あそこにはもう航海日誌が残されただけだ
 星のコスプレをした退屈人たちが立ち上がる沖で、
 いまいちどわたしたちは叫ぼう、──#yeah!!! だってね
 たったそれだけのあいずで町を滅ぼせるから
 関係はまやかしだ、
 もはや譬喩に立ち上れない
 大きくなった子供たちが
 不意に過去へと立ち返るはめになったときに
 わたしたちの心臓を交歓させて、
 それぞれ別の山に登る
 右の烟、左の烟、
 それぞれ翳んだ景色のなかで、
 やがてふたりの信じるものを生け贄してでも、
 クールの誕生を送ろう
 クールの誕生を生きよう
 ひとりぼっちの砂漠で見つけた魔術館が博物館でかったとしても、
 もう去ることは赦されない、かくれんぼももう終わりだ
 果てのない宇宙で知り合った衛星とともに、
 見失った口唇期とともに、
 この世界をクールに突っ切ろうぜ。


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