深くなりすぎた坑で男がひとり映画について語る、
というような夢を見たからか、
きょうは古くなった冠詞をつかって、
トマトソースであえた
なにがまちがいだったのかわからない
ショットごとの分析がうまくいかない
被写界深度のなかでアーク・ショットが始まろうとしてる
でもぼくに必要なのはドリー・ショットなのだと悟る
アレックスが走り抜け、
島がビルから転落して、
やがて血の色だけがなによりも濃く、
映しだされるのは心臓の位置がわからないせいなのか
けっきょくぼくは見棄てられた田舎者に過ぎない
アスパラガスを殺した朝に、牡蠣の缶詰に食当たって、
なにもかもが信じられないというふりをして、
手紙をより分ける、宛名のない手紙を
きみがいったいどこでそうしてるのかが知りたい
そうおもって手紙を書く
はじまった夜が、
手をぶらさげたまま、
古い閂を見つめる詩は
まだ書かれない
ぼくが望むのは色分けされた関係性、
すべてが暖色に変わるようなやさしさと、
それを補色する無機物とのおもいで
ぼくはまた港湾で働いてる
海との接点がやがて、
黍色に変わるまでだ、
辛抱をして、
飛びあがる土地を探す
きみが愛するカメラマンの、
そのやり方じゃなく。