みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

反様式

 

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 記録図譜あるいは願い燃えあぐる荒れ野の果ての儚い夢よ


 声聞ゆ学び舎寂し建築はあまねく過去を思い起さん


 夏の日の真昼の幽霊 足許を照らす陽射しが猶も寂しく


 対向する光りのなかをさまざまな過去が揺れてるわたしの現実


 カラー喪失する夜半「シャッター・アンド・ラヴ」を眺むる
 

 忘れられた領地を過ぐる斑鳩のかげに宿れる永久の罪


 からす飛ぶ一瞬われに芽生え来る憎しみなどをきみに与うる


 夢限りなくわれを戒める 主なき城の閂のごとく


 声遠くする 小さな子供がどこかで飛んでゐる


 昼も夜もぼくのおじさん眠らない 機械工場に犬は走れり


 生霊の眠れる真昼 枇杷を切る 薪となるべき木々の一生


 葡萄園歩く暦ようつくしく狂えるならば祝福となす


 都市計画・再開発の悪霊がモスコミュールを吞む午前中


 解体さるる「さくら工芸社」やがて忘るものたちの土地


 生体検査する医師のまなざし毒を生む神官のごとく


 かすむかげばかり みなおもいでになりたる朝は


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