鈍色の季節はそのやり方で夢を撃ち落とす
たったいま過ぎ去った子連れ女が
石に囲まれた恣意に水をやる
回転にまぶされた窓が
ある男の意識へ呼ぶ
なにもかも水色の電気信号で、
だったらなんでもいいからとおもい、
きみのなかに侵入する筏、からだ、だから、
もし憂鬱ならば、ぼくが孤立をわけてあげよう
2025年式の孤立を
多くものがあの水を潜った
そして消えてった
だれかが寂しい声でいう
いまはまだ大丈夫だと
そんなものはうそっぱちだけど、
ぼくはその声を信じる
ぼくも大丈夫だと願うから
夢が撃ち落とされた
閂が砕け、秋が産卵する、
そしてテレビのむこうから、
海が8Kで、迫る
もうじき落ちてゆくなかで夢はきみの寝室で、
最期の映像を描く、そして穢す
そうとも、裏切られたのはきみひとり
もうだれもない観客席で泣いてるのもきみだ
もし憂鬱ならば、ぼくが孤立をわけてあげよう
2025年式の孤立を