○
きょうでおまえは33歳だと、神がほざきやった。どうりでおれはふんづまってるわけだった。通りは穏やかで、どこまでいっても夜だらけだ。なにをやるか、なにを書くか、まったく定まらない日がつづいてる。引っ越しはできなかった。もう1ヶ月早くうごいてればいいものを、なにもしないままで終わらしてしまった。またぞろ予定の立て直しだ。今月は室と仕事を探す。絵葉書をつくる、ホームページをつくる、このブログを収益化する。ぜんぶできるのかは知らない。そんなことは知らない。ともかくできるかぎりというわけだ。
それでもおれのわるいところは、競馬で喩えるなら多点買いのトリガミといったところだろうか。できることなら1日1日、ひとつのことだけをやっていれば成果だってでるというのに、生来の飽き性か、ADHDのためか、選択肢を増やし過ぎてなにもできないことが多い。きょうは脱毛症のことで医者にいった。薬について聴く。けっきょくは高額で断念する。そろそろ若禿まっしぐらかも知れない。金もなく、からだもわるい、頭はいかれてるし、おまけに見てくれもひどいと来た。この世にいるべきか、別の世界にいっちまうほうがいいのか、正直悩む。どっかの辺境、第4か、第5世界あたりに飛び去ってしまいたくなる。嗚呼。
○
ところでおれは《ローハイド》でのバーテン見習いをやめちまった。大した顛末もない。4月のある日、グルメ雑誌「ダンチュウ」の記者とカメラマンが来て店を取材した。それが終わったあとオーナーは唐突におれにコースターを見せて、そのデザインはどうかと訊いてきた。おれは素直に首をふってしまい、それがかの女の怒りを買った。わるいことにおれは弁解をしなかった。かの女は見苦しいままにおれへの憤懣をほかの従業員に浴びせた。おれのすぐそばで、おれの聞える、見えるところでである。こういった女は醜い。おれに文句があるのなら、直接いえばいい。
「おれならここにいますよ」
かの女がふりむく。
「ええ、知ってます!」
「だったら、おれに怒りをぶつければいいじゃないですか?」
「あなたが聞かないから、ほかのひとにいってるのッ。あなたは失礼ですッ。ここはわたしのお店であなたは従業員。それがわたしに意見するのはまちがってるッ。」
「──たかがコースターのデザインぐらいで」
「あなたも絵を描くんでしょうけどね、お金にならなきゃ意味ないのッ! あれがプロのデザインなのッ!」
「だったら、おれにどうしろというんですか?」
「あなたのセンスでコースターつくって来てッ!」
なんだってこんなことになってしまうのか。おれは頷くしかなかった。未亡人はでていき、おれはひとり黙って流しのものを洗った。とにかく洗えるだけ、洗った。
「起こってンのか?」
マスターのH氏がいった。かれはおれよりひとつしたで、子供がふたりいる。長身痩躯で独特の体臭をしてる。
「少し。──あまりにも理不尽でね」
「耐えなあかんで」
5月はじめての休日、おれは店に未亡人に電話をかけた。おれは酔って怒って、電話口でかの女を罵った。最后の給料と受取り、くそったれなブルックスのシャツを返して辞めた。土台、バーテンダーとして店をかまえるつもりなんざない、生活保護ぎりぎりの賃金で働くつもりもなかった。
○
からだについてはあまりよくない。来週あたり、またも香川医大にいく予定だ。漏斗胸の治療についてはずいぶんな勇み足をしてしまった。ナス法は瑕を残さないという点ではいい。けれども二度の手術や、再陥没の危険を考えればとんでもないことだった。運動や寝起き、咳などにいつも不安を抱きながら過ごすというのはやりきれない。ふるい術法でいいから、もっと確実なものにしとけばよかった。焦って誤るのはいつものことだ。
○
〒651-0092
神戸市中央区生田町1-3-4 美和マンション301号
a missing person's press 中田満帆
電話:078-855-7227
出版社記号:9909502
mitzho84@gmail.com
三井住友銀行
藤原台支店
普通 7489267
ナカタ ミツホ
○
これからはもっと慎重にならなくてはいけない。おれ自身の1日に、おれ自身の経済に。金が入ったから遣うではどうしようもないくずのまんまだ。環境を変えよう。生活を整えよう。遣うのはそれからでいい。あとは1日1行でも、1筆でもいいから、みずからの作品をものにすること。
これからの予定若しくは願望:
仕事を決める。
保証人不要の物件に引っ越す。
8月に青森県三沢市へいくこと。市街劇を見たい。佐々木英明さんとお会いしたい。
ライブにでる。
そんなところで、
おれはいま33回転で、
半生タイプの中年男というわけだ。
わかるだろ?