みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

旅の手帖/C-17

 


 憂鬱な肉体が流動体を査問にかける
 足跡を喪ったきみの婚姻を夢想しながら大陸熱に魘される夜
 秘密はそれ自身が立体であると証明することになる
 ならばと匕首に手をかけ、
 半身を凍らせる力学が未成熟な魂しいの果てで減価償却費を払えないでいる
 理由のない暴力が芽吹く雨季は3連符のつらなりだからか、
 反芻する牛が海豚になれないために自裁する
 裸は夜だった
 体温が天体を摸倣する室で、土地の買収人が殺される
 権利書一切が奪われ、犯人グループが子役たちに演技指導をする最中、
 きみがする仕草に暗号が混入したとされ、給食センターが騒ぐのもきみの願い
 ピンク映画が暗殺されたあと、
 監督が照明係に変装する
 そして長距離バスに乗って、暁の捜査網に消えるとき、
 たぶんその顔が青かったせいでアリクイとまちがえられ、
 星座のなまえを忘れてしまったのだ
 もはや、止めることのできない色度によって虹が4番街区を襲撃している
 管理人と警官が抱き合ったままダビングを開始する 
 そして森が突然驟雨するなか、ビートの源流を辿ってニール・キャサディの墓を叩く
 repeatをつづけよう
 はじめから生まれなかったことにすれば、きっと殺されずに終わるから
 評論家は発言する
 もちろん、ウォール・オブ・サウンド
 からたちの花が見渡すかぎりに咲く画面にだれかが忘れたような脚本が戦車を操っている
 気をつけろとおれはいう
 気をつけろ、きょうの献立には椎茸が混じっている
 見つからずに吐きだせと 
 異端審問を接種するバス群がノースカロライナから集合して来たことはわかっている
 だが中心街の精肉店でバサが売り切れたという報告はまだあがって来ない
 脱獄囚と淫売が混じり合う廊下を子供たちが走るのも、いまだ未確認だから、
 恐らく失業時代の穴埋めに少女の黒髪を求めるのも不可能ではない
 唇がめくれた、オレンジが濡れた
 防災訓練依存症のタケルくんがリンコちゃんを献上した
 天皇陛下が破顔しつつ、
 手を展ばすとかの女は炉心部を曝け、
 そのまま融解してしまった
 陛下はみずからの実存について話すも、
 虚構については触れもせず、
 官僚の領地などがまるでなかったかのようにして、
 日章旗にくるまれたまま、
 映画化される
 そして馬の調教師と、
 猫の調教師が理髪店で略奪を始め、パーマネント器具が天井にあがる
 すべてのものに屋根を、すべてのものに米をと具象画は祈るも、
 ひとびとはただじぶんの心臓が本物かどうかを識りたいと、
 6番街をかたまって歩くなかで、もはや信号ですら隠語に等しい 
 いままで気づかなかったエロスがオットーのなかで目醒めた
 きみこそがいちばんの願いだと信じて、
 いままさに不動産のビラを片手に愛についての神話を語る
 これらすべておれの試み、そしてすべてのものが固有時に立ち返るための、
 魔術に過ぎないのは求人票にて告知済みであった
 イーストマン・カラーが暴虐する土地で
 青い眼の犬と出会ったとき、
 はじめておれはじぶんでない視点を
 獲得したような気分になるだろう