みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

意識

 

 サーカス場が解体された上津台の空き地で
 おれは買ったばかりのヘヴンヒルを呑む
 まさに天国の丘だった、
 16年まえの光景
 意識はいまその時代を漂う
 おれの心臓、
 おれの手指、
 銀貨と見まがうほどのワッシャが土のうえで眠るのは、
 たぶん心臓の形容詞だった
 いまは'21年の五月、緑色の男たちが手を握って誓い合う
 ──もう逃げないと。
 そしておそらくサローヤンの掌篇みたいにやさしいひとたちが、
 おれの意識を切り分けて、ブラッドソーセージと一緒に食べてしまうんだ