詩に感傷も美しさももういらない
そんなものはおやじやおふくろにぬりたくって
臑を齧るときに使えばいい
ねぐらでダサい文学青年きどりよ、土台
きみはことばを定規で測れても
感情をことばになんかできまいよ
感情そのものが足りないのだ
いついつまでもひとの評価を気にしつづけて
なにも書けなく
なるといい
なにわナンバーの乗用車
急に停まるな
夜のふたり乗りは危険だよ
おれがうしろから見えているからな
歩いて
くる
短すぎるスカートの高校生、三人
うしろからそっとスカート捲りがしたくなった
パンテイの人気商品調査ってやつがしたくなった
でもスカート捲りなんてもう
ふるくさい
おれは生まれてくる時代を
まちがえたのか
いいや
どっちにしろおれは見てられないほど
ねくらでかっこわるい文学青年きどりだ
日活アクションのきざやろうにもなれやしない
欲しいものは
金でも
鍛錬でも
買えないものばかり
おお、ぶさいくな顔！
ああ、ぶさいくな躯！
どうしようもないのだスカート、さよなら
こんばんはスクーター、山田ナンバー
とろいおしゃれなスクーターめ
おしゃれなヘルメットにおしゃれなゴーグルしておまえはおしゃれな女か
女は車もバイクも運転するな
乳母車でも押してろ
買い物かごでもさげてろ
乳母車でも押してろ
子供でも産んでろ
おれをこれ以上悲しませるな
悲しませないでください
追い越してやるぜうしろから来たバイクに
便乗しておれのカブで追い越してやった
もう詩に
おっとチェーンがいやな音をわめく
理想などいらないのだ
いるのは目に見えるものへの
敵意と
果てない悪意と
パンチと
欲と
あざけり
なのだ
ねくらでダサい文学青年きどりよ
つまりおれは
もうきみのように
しみったれたくはない
もうおれはきみではないのだ
