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馬と檸檬を接続したい そんな気がして夜を歩く 逃れて生きる 意味よりも純粋な方法で、固有時を溶かす夕映えのロケーションがだれかの手をとって踊りだすホーム 体温のない鉛がなまえを欲しがるとき、悲しいほどのUSBがAからCに変わり、裏も表もない塊りになって心臓の森を、
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ひるがえる砂のスカートが、皮膚のうらがえす 手のひらがからっぽになってしまったせいか、群衆された助詞が副詞を殺しに来る ためらってるのはおまえ 猫のように不定形で なだらかな丘が 馬のなかで発熱し始め、惑星模様の否定のうえを夜がちかづいて、そしていまスカートが、落ちる。
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銀嶺は熱い 触れるのはまなざし 玲瓏の、砕かれた曲線が恋しいのはたぶん映画を失ったからだ 分身術を使えない宇宙忍者みたいに風景がキスをする 細胞が分岐して文学が花になる だれも読まない花になる 空気が冷たい 室はやわらかいけれど、きみがいないから、いまもずっと窓を叩くんだ、それで
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纏足が科学をやめないから埋めようとおもい、花びらからスコッチテープをだしてブロック片に怠いジンジャーワインをかけて裏庭に立った からみつく甘い死語が、まだ生まれない 酸性雨が好きだったころをおもいだす おれはたまらずに射精する 射精しまくる 手淫のなかでしか、愛せないものがあって、それはとても怖ろしい それはとても悲しい 肉づきのわるい手羽先を焼いて えらいもんやでと呟いた 金物屋の2階で女が秋を売って、
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星を狩るバスがもうじき来る 星が原の夜はみずいろの硝子 文鳥が一羽、閉じ込められたのは文法徴税官の為業で、かれはきょうも衒学のなかを走る つまらないから死んでしまえ 必死だなとかれはいう そしていつまでもアスパラガスにしがみつく おれはかれを見棄ててバスに乗る ようやく口語が浸みて来たから鞄を降ろす 馬は丘を走る もはや檸檬の夢をUSB接続されてしまい、かれらはもう死ぬこともできない
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