孤独が夜更けてひとり歩きだした
叱られていき場のない少年のように
十五のころに帰ったように
看板のなかの
派手なべべを着た娘の
その胸に手をあててみたり
雨に溶けだした聖母像の肩や頬に
顔をすり寄せてみたりして
孤独にいっそう磨きをかける
触れられるのはとまっているものだけ
美しく見えるのはとまっているものだけだ
動けないもののために美があり
いき場のないもののために美があり
触れさせる孤独がある
しかし触れたってなにもないのだけれど
なにもないのことがなおさらに愛しく
なにもないところに放浪ははじまる