みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

38回転/酔い醒めの朝



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 といわけで38になっちまった。もう逃げられない。歌誌の発刊は迫ってるし、今年中にはアルバムのレコーディングだってある。おれはとりあえず、なにかもを赦そうとおもった。過去のじぶんや、過去のものごとをぜんぶ。だって、もう取り返しがつかないし、悔やんだところでなにも帰って来ないのは承知だからだ。先月の15日から本格的に禁酒してる。いままでの酒に起因する問題をリスト化し、毎日読んでは認知の歪みを矯正してる。たとえば急性膵炎での入院は何回だとか、対人関係の破綻はカウント不能だとか、初恋のひとへのストーカー行為は3回だとか、そんなことを読みながらシアナマイドを嚥む。おれはもはや酒呑みやろうではないんだ。
 きのうはギターの調子を見てもらうために島村楽器へいった。ロッドを調整してもらったものの、弦高が高すぎるので、けっきょくは再度赴き、工房へリペアにだすことになった。ナットを直し、フレットを削り、弦高を2.5㎜にしてもらうためだ。こいつには1ヶ月もかかる。だから今月のギターレッスンはガットでやることになった。
 現像にだした写真を受け取った。どれもひどい写りだった。シャッター・スピードが遅いので、手ぶれがある。使えそうな写真はほとんどなかった。ストロボを使うべきだった。またひとつ真理を得るというわけだ。金はまだある。いつもより余裕がある。それもそのはずで、いままで月に¥15,000は酒に遣ってたからだ。今月はまたカネコアヤノのライブの抽選に応募した。2ヶ月つづけてだ。だって、かの女が神戸市中央区でやってくれるからだ。無事に抽選を当てて、支払いをしたら本棚を買うだろう。もう、おれのふたつの本棚はいっぱいいっぱいだった。本好きが祟ってああなってしまったんだ。

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 ヴィンセント・ギャロが1stソロをだしたのは39歳だ。おれは今年中に自主制作でアルバムをつくって売り、来年にはデビューしたいなどと欲を掻いてる。恥ずかしい話だが、ようやくこの齢になって、あらゆることがコントロールできるようになって来たという感じがする。歌誌にしろ、ギターにしろ、時間はひとよりもかかったが、それだけ好いものがつくれそうな感触がある。実感を得たといっていい。まあ、CDづくりには録音、ミックス、マスタリング、プレスから、フロント・ジャケットのデータ作成と印刷、バックインレイのデータづくりと印刷、プラケースの用意、シュリンクの委託包装、そして委託販売という長い道程が待ってる。今回は、'18年の紙ジャケット仕様のデモ音源集とちがい、新しい経験がともかく必要なんだ。こいつを乗り切れば、おれはまた成熟できるだろうとおもう。なんにせよ、やらなければならない。
 それから新しい歌集。なんとか商業出版に持ち込みたい。師匠の伝手をたどって、とあるひとに興味を持ってもらおうと考えてる。
 あとは身体のことだ。減量して適正体重に持っていきたいし、アルコールで傷めてきた内臓を恢復させたい。もはや酒で時間と金を浪費する時代は終わったんだ。おれには時間があまりない。とにかく、できるだけ早く、この地下生活じみた状態から脱出していこう。そんなところで、おれは誕生日の1日を愉しく送っていこうとおもってる。──じゃあ。

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When