みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

a something for rainlang

 

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 それからスロットマシンが遅れて到着した どうやら帽子に凝っていたようで、ハンチングのなかで笑顔を湛えながら、「27498」と呟きながらギュンター・グラスを読みだしたので、その頭をまずは打擲、最初の海に口をつける おれは半年まえ、婦人売場で水球用の水着を盗み、いまもまだ、李徴に追われている

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 でも、ハンマー投げに成功したからといって爵位がつくわけじゃないからおれは心臓の検品中に針を落として、溝にかける それが厭なら大尉になって女の懐に忍び寄ってしまいたい どこにもいけない時代だ、けっきょくおれは負けつづける ピン・ヒールに欲情するゲス野郎のなれの果てで朝を焼べるのは、

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 ところで、かの女の背中に林檎の苗木を移植したいとおもうのだが、品種はなにがいいだろうかとパークサイド・ホテルの非常階段で考えるのはヨガの初歩である なぜなら講談師が浪曲師と結婚して、「為五郎の悪事」を埋葬するのはとても辛いことだから 星の調教に失敗した男たちでパーティがひらかれ、

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 ぼくはラジオのようになりたかった でも電気冷蔵庫になってしまった 快楽のために生きる 電源のかぎりに 椿は自転車になってしまった 花びらが感電するさまがなんだか気持ちいいから 下着を脱いで、全裸になった詩歌が勃起した鉛筆のまわりを下級官吏みたいに歩き廻っている

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 猶も桃色の花火がきみのなかでおまんこするのに、おれはなににも与れない 日記とはシナリオの暗喩である 楡の木が発狂した庭で、鳥撃ちをする少女の腕前が素晴らしいのに、かの女が破裂する一瞬葡萄の汁が器に充ちてなにもかもが哲学されるのを観客席からハートランド・ビールが観ているのを咎め  

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 ひょっとして夜は鮭だったかも知れない カーテンコールが鳴らない室で子兎を改造する時間が 勿体ない だからレイトショーのない浴場で水牛と眠る朝を求めることにした 雨が言語だとして、現存する潴のうえを走る光りをだれが翻訳するのかを暴力パブで講釈する男友だちと口づけをし始める

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