みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

秋ひらく


 ふゆぞらに天女来たりぬ督促状


 眉痩せる少女の靴がぬめりたり


 死せる繭生まれるまえに罰せられ


 狐飛ぶ夢見たるや地平線


 妬心もてふりむくことの無粋かな


 向日葵やせんずり掻いて濁りたり


 こんぺいとう世界の充ちる音聴く


 茜差す世界婦人は臍を嚼む


 狂犬病予防せずかな林檎の木


 アキアカネ子供の靴の紐を解く


 なみだぞら時雨れるままのニンフあり


 葡萄の実干涸らびながら秋夢む


 幼年やあやめの色のべべ濡らす


 緑青の少女の着物秋ひらく