それは天気のせいさ──サニーデイ・サービス「サマー・ソルジャー」
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生命の理やぶりそれほおどにきみと会いたき夏のはじまり
水たまり飛び越しながら光りつつ最后のひとつに加えられたし
ソーダ水の残りの滴ぱちぱちとしてコップのなかの犀目を醒ます
はつなつの兵士のひとり走り去る丘にいっぽんのれもんの木
叢の昏れるトーチカ銃痕の数ほどにあらんや若き友の死
ひとを恋うる歌もてひとりふりかえる天慶の為せる愛を書きたり
またしても雲掴もうとするようにわたしのなかの天蛙鳴く
ひとり発つひとの在り処や青電の暑さのなかにみな息をしおり
なにもかも霜月になればいいのだと夏の鐵路のいっぽんに泣く
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あなたまだ流線型をしてるよと市電のホームに女佇む
ひとのなき青森県の三沢にてふと雨さえも言語足り得んや
暮れる旗わが神ならずまま暮れるやがて秋なる尻屋崎にて
神々のビートよぼくを忘れ給い、扼するみたくぼくを抱き給え
ひとひらの葉書に見せて擬態する七月の地をぼくに預けて
灰かぶり姫の幸せ語りつつ蝋引きのタンブラーに安酒の父
みどりごの不幸な結末を語りたがりぬ若きわが伯母
ここにいて心地よければ祝福となすがよろしいと夏の祖父母は
手相見の相場のごとくちりじりに別れゆくかなぼくの家族も
申楽のかたちを借りてきみの語る大きな夏の崩落のとき
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ゴールキーパーの汗とともに失せたりぬ国境沿いのジューク・ボックス
たくさんの夏蝶いまも眼帯としてわれのうちなる生き物を為す
夜のときモーテルひとり泊まり来てコップのなかの鯨を屠る
たったひとり天仰をする警官のかげばかりなり標本製作
唇のもっとも乾くころを見て少女の花に唾滴れり
逃げるように駈け抜けて猶夏蝶のまぼろしとあれ脱走兵なぞ
生き残るサマーソルジャーはつなつの天体図鑑に葬られたき
あてどなきぼくという名の弁明を物干し竿に仰ぎ見たれり
なにものも欲せず夏を一過する貨物列車に身を委ねたき
夏を過ぐるいっぴきの猫歩くとき死の爛爛を咥えるべきかな
花狂いするものみな射れよといっぱいの水に潜れるひともありけり
- アーティスト: サニーデイ・サービス,曽我部恵一
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