みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

Nastassja Kinski

 

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 身うごきのとれない暗がりで
 みずからを律するのは
 わるあがき
 に
 過ぎない

 ほとんどのひとが雨になったあとで
 林檎の表皮を削るような
 かぜが吹き抜ける
 声をあげて

 いまだ顔となまえが一致しない労務者たち
 カナリアの鳴き声がやんで
 ガス・スタンドから
 2CVが発進する

 かの女は恋人に会いに来た
 かれは心臓発作で死んでしまってた
 かの女はかれの死を疑う

 刑事が食卓に現れる
 刑事の姿をした雨が現れる
 距離というおとぎ話をしては消え、
 飛距離という現実を話にふたたび現れる
 だれもいない食卓を雨が包囲し始める

 訊いてもいい?
 きみがどっからやって来たかを
 軽業師の少女が画面のなかで
 ぼくを見てる

 どこでもないとだれかがいう
 自転車が盗まれる
 ナスターシャ・キンスキー

 あるいはみな、
 内なる他者の戯れごと
 かも
 知れないね