みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

終わりのビート──田中修子へ

 

 かの女が死んでしまうのをおれはどっかで予期してたんじゃないか
 かの女の人生にちらつく死臭、強姦、家庭での暴力、そして自傷行為、自殺未遂
 いろんなものがおれの通りを走っては、工事現場に激突する、
 そして瞑目するなかでいちばん終わりに観たものをだれかが創造する
 ゲス野郎、大きなケツの穴に棲みながら生きる三文詩人たち
 おれもきっとそのなかにいるのだろうとつぶやきながら、
 けっきょくやすい酒を買って、卑しい棲まいに、
 接ぎを当てようとしながら、
 時間のかかる自殺のほうへ沈んでしまうんだ
 電気?──もちろん停電してる
 火の気のない室のなかで、
 ずっと床掃除に勤しむことしか、できない
 幼少期の瑕が膿んでも、
 まるでそれがないかのように街区でてて、
 気どった足どりで、酒を呑んだりする
 どうしてなんだ、
 枯れた花ほど愛しくなるのは
 どうしてなんだ、
 流れた好機ほど気を惹くのは
 でも、もはやここにはだれもいない
 かの女はひとっ飛びに通りを越えてアーケードのなかに消える
 ものはみな手慰みで、
 詩のない詩人が、
 物語のない作家が、
 歌のないシンガーが、
 未明に屯して、
 じぶんがであえなかった瑕をだれかのものにして、
 しばしばゆっくりと、浮遊する 
 しばしばゆっくりと、浮遊する
 でも、きっとかの女の苦しみにはどうやってもとどかないんだ
 そしてそれがわかったところで、どうにもならない
 逝ってしまったものは、もう声ですらとどかない。