みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

電話

 

 
 ホイットマンみたいにおれは呼びかける
 声よ、
 夜よ、
 溶接工よ、
 草の葉よと
 標のない夜の、裸体がひらく、ひらく、ひらく、
 うごけない標的、バスキアの夜の図表よ、
 立ちあがる、
 勃起する男性よ、
 待ちながら手を焼かれる、1千万の秋よ、もどるな
 でも、それが魂しいの呼び声だってことに気づかないままに終わる無言電話よ
 妨げられた助詞が、副詞と猥褻するスカートのなかの夜よ、まったくもって、
 なにかがちがってる、喋ってる、蠢く、
 カタログ通りの人生を厭きながら走る、中古の自動車よ
 もはや馬でないないかに乗ってそれを走り抜く十二気筒の万華鏡が、
 おれを嘲り、おれを信じ、おれを鉄梃にして、
 踊るような、フロアみたいな、バックファイアの光りとともに、
 ゆうぐれてしまい、いまだひとつの電話もない夜のアパートメントよ。