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わたくしごとなればセロリ青しといいこれを䈭める暮らしの手帖
ゆく春に語るものなし倖せな大人でいたいという欲望よ
夢ならば天使の頭蓋抱えつつ燃ゆる七月藍く塗りたし
願いすらなく索漠のうえをゆく一言居士のような心臓
花月のみどりの化石 愁いとは花のしずくにかざす銀河か
さみだれに擬態する夜・歩行者のいないところで発病するか
贋詩人・カマキリ・海賊・テロリズム・みなまぼろしの砂丘へ集う
白子みたいなこころがわだかまって、たったいま戸をあけました
それが正体だったんです 屋根のむこうの銀の帷子
稚児ひとり泣く公園の真午にて10円硬貨を投げて占う
西部劇のポスター枯れる魚影がひとの姿を借りる色彩
終ならばインゲン豆も詩劇足るゆうやけ地獄の陸橋歩む
寡婦過ぎる曲線われを再魔界するいくつもの断片なりき
「ユカコ」すら代名詞となりぬ夜のかたわれ足りぬ木々のさまよい
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