みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

天蓋

 初恋は地獄 熱い地獄 火傷まみれのからだを社会になすりつけるまで ずっと熾き火のなかで身を苛む裁き 胸のなかで燃え、やがて去っていく一切が おれのなかであたらしい創造物を滾らせる いま、おれがなにをいったか?──そんなことはわからない 小児科の待合で読んだ、ドラえもんの長篇みたいに子供たちがそれぞれの煉獄と冒険を撰んで、旅にでる場面のような、火と町と誤解の物語、おれは棒つきキャンディを嘗めながら、宇宙という人格の、とてもうるわしいスカートをなぞった 少女が燃えつきたあとの、郵便局を爆破して、愛という反語のなかを いつまでも這い回って、ガス火の幻惑とともに、当てのない二号線を破壊するべく、炎のなかのおもちゃとか、奔ることが忘れられない、たしかネロが置き忘れた孤独とか、20億光年の慰みのなかで、いずれ製品化されるだろう、ひとびとともに、ぼくは死にぞこなったものとして、転落のやわらかさに気づく いまも胸が痛む そのまま死ねたらいいのに ぼくはどういうわけか、温情さと、忍従のなかで、細長い眼をひらいて、天蓋を閉じようと必死になっているんだ、きみと。