みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ショー・マン

 

 過ぎ去ったもののためにみずから現在を喪うものがいる ミショーの書いたボロ屑みたいな、両の手になにもない男たちが見えないものにすがって、生きるふりをつづける こんなにも人生には描く必要のないまぼろしや夢が、時代の漂流物となって、戦慄いてる ところでわたしはなぜ、かれらについて書こうとするのか それはわたしこそが隣人であり、かれら自身であるからだ 救急車のサイレンが鳴る 運ばれるラジオの声 そして放送されなかった詩劇の結末の一行 われわれは過ぎ去ったものを 光景を 手放せないでいる それらを室に配置して 不在の観客たちのまえで 鰥夫はかれの生活を演じるだけ それだけでかれは夢幻の遠ざかるなか、現実の渇きに耐え、そしてショー・マンのひとりとして、みずからを癒やそうとあがくのだ。レイトショーの終わりも知らないままで